スティックPC(ドスパラ Diginnos Stick DG-STK2S)を使った電子看板(デジタルサイネージ)制作記事の第3回目。今回は「熱闘編」。悪戦苦闘の連続だけど、シャバダバシャバダバやり抜いちゃった模様をお届けします。

当初の運用プランでは、Windowsのタスクスケジューラーを使って、スティックPCを平日の夕方に自動的にスリープモードに移行させ、次の平日の朝に自動的にスリープを解除する予定だったのですが、ハードウェアが肝心のスリープモードをサポートしていないことが判明。
それならせめて自動でシャットダウンさせたいのですが、そうすると電源ON時にキーボードを取り出してログオンパスワードを入れなければなりません。そういう手間をかけなくてもいいように、スティックPCとワイヤレスキーボードを導入したのですから、これはどうにかしなければ……。

画像: PCのスリープ/スリープ復帰を自動制御したいだけだったのに、だんだん面倒なことに…。

PCのスリープ/スリープ復帰を自動制御したいだけだったのに、だんだん面倒なことに…。

あれれ?でも、ちょっと待てよ。 もし、夕方に自動でシャットダウンしたとして、PCを起動するときにかかる手間って、電源ボタンを押す以外、何があるんだろう……うん、ない!何もないよ!
それなら自動シャットダウンさせなくても、朝と夕方、電源ボタンを押して起動とシャットダウンしてもらうよう頼めばいいよね?パスワード入力もいらないし、キーボードもマウスも使わない。ボタンを押すだけなら依頼も簡単だし。
……ってことで、もう 半ば家電扱い にしてしまっていますが(笑)、毎朝エントランスの扉の鍵を開ける際と毎晩扉を締め切る際に、スティックPCの電源ボタンを押してもらうよう総務に依頼して、ひとまず解決です。

決して見たくなかった"あの画面"が、今、目の前に!

スライドショーのファイルは、社内の各担当者に「パワポ(PowerPoint)で作ってね~」と依頼するだけでOK。こういうとき、スタンダードなアプリケーションって楽ですよね。
その間にこちらはテスト環境を構築。うまく動くことを確認したら、いよいよ実機(DG-STK2)にインストール!…しかし、テスト環境では気付かなかった、ある落とし穴があることを知りました。

画像1: 決して見たくなかった"あの画面"が、今、目の前に!

パワポを使っていれば、誰もが一度は見たことがある↑このメッセー……あ、ゴメン。

画像2: 決して見たくなかった"あの画面"が、今、目の前に!

誰もが見たことがある、スライドショーの最後に表示される↑このメッセージ。元祖パワポではオプション設定で消せるのですが、閲覧専用のPowerPoint Viewerにはその設定自体がないので消せないのです!つまり、スライドショーの再生が終わるときに、毎回この画面が表示されるわけですが、それじゃあちょっと……ねェ?

どうにか消す方法がないかと調べてみたのですが、いい方法が見つからず、一方、モニター設置の期日も迫っていて、『設置はしたけど画面は真っ黒…』という状況を避けるためにも、なんとしてでも稼働させなければならず、やむなくPowerPoint Viewerを諦めて、元祖パワポをインストールし直しました。あぁ、要るものリストも書き換えなくっちゃ…。

  • ハードウェア
    • スティックPC
    • ワイヤレスキーボード(タッチパッド付き)
    • 大型モニター
  • ソフトウェア
    • 電子看板専用アプリ
    • PowerPoint Viewer PowerPoint 2010
  • その他
    • モニタースタンド、または壁掛け金具
    • 電源分岐タップまたはPDU
       

しかし、前回説明したとおり、パワポは「プレイリスト」によるスライドショー再生ができません。そこで、あまりスマートな方法ではないのですが、まずは、パワポの連続起動用のバッチファイルを作成。幸いパワポをインストールすると、スライドショーのファイル名をコマンドラインに渡すだけでスライドショーが起動するので、これを利用して"プレイリストに相当するバッチファイル"を作成して、それを起動用のバッチファイル内から呼び出し、さらにバッチファイル内で強制的にループさせてみました。

【slideshow.bat】─── 起動用バッチファイル
@echo off
pushd C:\User\UserName\スライドショー
cls
:LOOP
call playlist.bat
goto LOOP

【playlist.bat】─── プレイリスト代わりのバッチファイル
"Slideshow_001.ppsx"
"Slideshow_002.ppsx"
"Slideshow_003.ppsx"
"Slideshow_004.ppsx"

"playlist.bat"には、再生するスライドショーのファイル名を再生する順に記述しておきます。再生順の変更や追加・削除は、この"playlist.bat"を編集するという、実にシンプルな構造です。
しかし、"slideshow.bat"の中で、プレイリストの呼び出しを強制ループさせているため、このままではスライドショーを途中で中断しても、すぐにまた最初から再生が始まってしまいます。メンテナンスが必要なときにスライドショーが動いたままだと面倒なので、簡単な強制終了用のバッチファイルも作成しました。

【pptkill.bat】──────────
@echo off
start taskkill /im CMD.EXE
start taskkill /im POWERPNT.EXE

コマンドプロンプトとパワポのタスクを強制終了させるだけの単純な内容なのですが、こんなものでもワンクリックで呼び出せるようにしておけば便利に使えますので、[スタート]メニューやタスクバーに貼り付けておきます。

画像: 使い勝手を良くするため、スライドショーの開始/中断用のショートカットを、[スタート]メニューとタスクバーに"ピン止め"した(マゼンタの枠内。アイコンは自作)。

使い勝手を良くするため、スライドショーの開始/中断用のショートカットを、[スタート]メニューとタスクバーに"ピン止め"した(マゼンタの枠内。アイコンは自作)。

バッチファイルは、通常[スタート]メニューやタスクバーに"ピン止め"できませんが、バッチファイルへのショートカットならピン止めできます。
その際、ショートカットの"場所"にはバッチファイル名を直接書くのではなく、以下のようにバッチファイルをコマンドプロンプト(コマンドインタープリター)に渡すように記述します。

%SystemRoot%\system32\cmd.exe /c バッチファイル名.bat

「鍵盤機構」は、やっぱり使い慣れたものが一番!

ところで、DG-STK2Sとセットで購入したというキーボードが、写真のマイクロソフト All-in-One Media Keyboard。マルチトラックパッドを一体化した小型軽量のワイヤレスキーボードなのですが、大画面のモニターを間近に見ながら操作するのは目が疲れますので、少し離れた場所から操作するなら、こういうワイヤレス型の方が重宝しそうです。
でも、この後、見た目と実際の操作性のギャップに、激しく悩まされることに…。

画像: マルチトラックパッドと一体化された、マイクロソフト All-in-One Media Keyboard

マルチトラックパッドと一体化された、マイクロソフト All-in-One Media Keyboard

まず、ファンクションキーの操作でつまづきました。[F1]~[F12]キーに音量、再生、検索等のマルチメディア操作用の機能が割り当てられていて、それらの機能アイコンが青くプリントされてます。
これらはきっと[Fn]キーを押しながら使うのだろうと思ったら、 なんと [Fn]キーを押さなくても、各キーをそのまま押すだけで機能します。

画像: マイクロソフト All-in-One Media Keyboardのファンクションキー部分。なんと青字で書いてある機能がデフォルト。しかも[Fn]と同時に押しても白字のキーが反応しない…

マイクロソフト All-in-One Media Keyboardのファンクションキー部分。なんと青字で書いてある機能がデフォルト。しかも[Fn]と同時に押しても白字のキーが反応しない…

今、頭の中に が浮かんだ方のために、もう一度説明しますね。 青いアイコンが示す機能がデフォルト で、[F1]~[F12]キーは[Fn]キーと同時押しで機能します。 つまりファクションキーのデフォルト設定が普通とは逆 なんですね。最初は初期不良なのかと思ったぐらいですが、慣れないせいかファイル名の変更(=[F2])や日本語のカタカナ変換(=[F7])、アプリの終了([Alt]+[F4])など、Windows上でよく使う操作が、とにかくやりにくいんです。

それでも、[Fn]と[Caps Lock]を同時に押せば、[F1]~[F12]に切り替わった状態でロックされるらしいので、それなら普通に使えるかと思いきや、キーボードの電源を切るとロック状態が初期化されて、また元のマルチメディアキーに戻ってしまって、 あーもー、メンドクセー!
さらに、[Home]、[End]、[Ins]、[PrintScreen]キーなど、一部のキーは[Fn]キーと同時押しの割り当てさえありません。例えば[Home]と[End]が使えないと、テキスト編集の際に行頭/行末への移動ができません。

なんなの、この謎仕様? 同梱の「クイックスタートガイド」にもマイクロソフトのサイトからダウンロードした「製品ガイド」にも、そんな説明はないのに…。「技術仕様書」にいたっては "109 key configuration: Japanese"って書いてあるけど、どう見ても「109キー」じゃねェだろ!! …と、自称キーボードマニアの私、ついにキレちゃいました。

これは名前が示すとおり「メディア」の操作用のキーボードであって、編集用のキーボードではないのですね、きっと。例えば、大型テレビにつないだスティックPCを、少し離れた場所から操作して動画やチャットを楽しむという用途なら使いやすいのかもしれませんが、仕事で大量の文字入力をするような用途向けではなさそうです。とにかく記者には向いていないか、記者がこの斬新さ(?)に追い付いていないのだと思います。
もう、悩むだけ時間のムダなので、インストールと環境構築の間だけ、使い慣れたキーボードに交換することにしました。今回使ったのは↓こちらの2台。

画像: 「ALPS白軸」とか「MNB」とか、クロウトさんにしか分からないキーワードを含む、往年の名キーボードをつないで作業

「ALPS白軸」とか「MNB」とか、クロウトさんにしか分からないキーワードを含む、往年の名キーボードをつないで作業

どちらも20世紀のクラシカルなキーボードですが、奇をてらわないスタンダードなキー配列とキーピッチ、そして極上の打鍵感は 「なじむ 実に!なじむぞ!フハハハハハ」 という感じでして、ここからしばらく ディオ様モード 無敵モードに突入!!!

この時エントランスでは( 第1回の記事 で紹介した)モニターの取り付け工事の真っ最中。その工事終了に間に合わせるために猛ラッシュをかけて、本番環境上での作動確認も終えて、ついに作業完了!
スティックPCとACアダプターをエントランスに持ち込んで大型モニター取り付けて、 電子看板『Ver.1.00』の完成です!!

画像: どうにかこうにか、電子看板『Ver.1.00』完成!! (これ以降も見た目は同じですけど…)

どうにかこうにか、電子看板『Ver.1.00』完成!! (これ以降も見た目は同じですけど…)

結局パワポでなんとかなっちゃったな~、なんて、いささか拍子抜けした気分でしたが、まずはうまくいってヨカッタヨカッタ。もう無敵モードも終わっちゃったし、割と遅くまで残業しちゃったので、これでミッションコンプリートってことで…。

さあ、いよいよフィナーレに…

ところがぎっちょん!!!!

なんかもう、ミッションどころかギッチョンだらけ。
完成したばかりの電子看板『Ver.1.00』は、翌朝、早くも改修の必要に迫らました。

上司:「BGMも入れといてよ。共有フォルダーに著作権フリー&商用利用可の音源置いたからサ」

前の晩にアドレナリン出しまくってアリナミン飲みまくって、無敵モードで作業をフィニッシュさせたはずなのに、一晩明けたら作業が増えていたでござる!! ぎゃふん!

上司から指示された共有フォルダーの中には、大バッハの『平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846 前奏曲 ハ長調』のMP3ファイルが1個。これをスライドショーのBGMとして使えということなのですが、このMP3ファイルの演奏時間が『2分12秒』。それに対し、再生するスライドショーのファイルは全部で6個。各ファイルの再生時間は1~2分程度で、すべてBGMの演奏時間よりも短いのです。

パワポでスライドショーの最初のページにBGMを埋め込んだ場合、スライドショーが終了するときにBGMが途中で途切れ、次のスライドショーが始まると最初から演奏し直されることになります(下図・上)。
スライドショーの長さに合わせてBGMをフェードアウトさせることも考えましたが(下図・下)、2分12秒=132秒の演奏が、それよりも短い1分や2分間隔で繰り返されるのは、あまり心地いいものではありません。

画像: 再生が始まる度にBGMを途中でカットして、最初から再生し直す(上)か、スライドショーの長さに合わせてBGMをフェードアウトさせる(下)か。どちらもイマイチ……

再生が始まる度にBGMを途中でカットして、最初から再生し直す(上)か、スライドショーの長さに合わせてBGMをフェードアウトさせる(下)か。どちらもイマイチ……

スライドショーの中で、どういうタイミングでBGMを再生させればいいか、悩みに悩んだのですが、いい案が浮かびません。BGMだけメディアプレーヤーを使って、パワポのバックグラウンドで再生してはどうか、という意見もあったのですが、後日プロモーションビデオ(PV)が完成したときに、パワポに動画を貼り付けて再生しながら、メディアプレイヤーを制御する(音を消す)ことが難しいと判断し、結局、すべてのスライドショーを一つのファイルにまとめて、その中でBGMを繰り返し演奏させることにしました(下図)。

画像: すべてのスライドショーを一つにまとめて、BGMを繰り返し再生させることで、ひとまず解決

すべてのスライドショーを一つにまとめて、BGMを繰り返し再生させることで、ひとまず解決

これならBGMが最後まで演奏された後、また最初から繰り返されるので、不自然さがかなり解消されます。そうと決まれば、さっそく作業開始…… ああ、そうか。 パワポのスライドショーが1個だけになるのなら、パワポで同じスライドショーの再生を繰り返すよう設定すればいいんだ。

画像: PowerPointの「スライドショー」の設定の中で、種類を[自動プレゼンテーション]に設定すれば、[Esc]キーが押されるまで同じスライドショーが繰り返される

PowerPointの「スライドショー」の設定の中で、種類を[自動プレゼンテーション]に設定すれば、[Esc]キーが押されるまで同じスライドショーが繰り返される

それならファイルリストを読み込ませる必要もないので、バッチファイルも変更です。

【slideshow.bat】─── 起動用バッチファイル
@echo off
pushd C:\User\UserName\スライドショー
cls
:LOOP
REM call playlist.bat
REM goto LOOP

"Slideshow_001.ppsx"

起動バッチファイル内の call文と goto文を コメントアウトして、一つに統合したスライドショーのファイル名を書き加えて……これで 『Ver.1.01』の完成です!
読み込まれたスライドショーのデータはオンメモリーで再生を繰り返すので、画面切り替えが以前よりもスムーズになりました。

『Ver.1.00』の完成前に説明しておくべきでしたが、Windows起動後、自動的にスライドショーを再生させるには、[スタートアップ]フォルダーに起動用バッチファイルへのショートカットを登録します。
しかし、Windows 8以降では、[スタート]メニューから [スタートアップ]フォルダーにたどり着けなくなっていますので、エクスプローラーから次の順番でたどって、[スタートアップ]フォルダーを開いてください。
・エクスプローラーの[表示]タブをクリック。タブが出ていない場合は、先に[Alt]キーを押す

・表示/非表示のメニューから「隠しファイル」にチェックを入れる

・次の順にフォルダーを開く
 C: > ユーザー > (ユーザー名) > AppData > Roaming > Microsoft > Windows > スタートメニュー > プログラム > スタートアップ

最後に開いた[スタートアップ]フォルダーにショートカットを置けば完了です。

画像: [スタートアップ]フォルダーの場所。図中の"sandi"は、この記事中のスティックPCの”ユーザー名”

[スタートアップ]フォルダーの場所。図中の"sandi"は、この記事中のスティックPCの”ユーザー名”


上司のリクエストどおりBGMも入れて、これでようやく念願のミッションコンプリート!!

でも、たぶんお気づきだと思いますが、やっぱり続くんです。 ギッチョン インコンプリート なんです。
完成したばかりの『Ver1.01』でしたが、またも上司からの追加ミッションが!しかも今度は、再生方法そのものの見直しを迫られるほどの大幅な変更が必要に……さて、どうなりますことやら。

―次回、「改修編」につづく

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