さる6月中旬、S&Iのとある部署にサーバー構築の依頼が舞い込んできました。翌月に開催されるベリントシステムズ(以下、"ベリント社")主催のイベントの展示ブースに、ベリント社の通話録音ソリューションを使った デモ環境を展示することになったので、それまでに実際にシステムが稼働するデモ用のサーバー(以下、"デモ機")を構築して欲しいという内容だったのですが、その情報をcafé SANDI編集部がキャッチ。デモ用とはいえ、せっかくコールセンター向けの通話録音(以下、"通録")システム一式をイチから構築するのですから、この模様を記事にしないテはありません。最近ネタ不足とスランプに悩んでいた本稿の記者は、お代官様に黄金色の菓子を差し入れる商人のような笑みを浮かべ、さっそくいつもの軽いノリで担当部署を直撃しました。

FTRとかQMとかADQとか…ただの略語なのでエニグマは不要です

ベリント社は、コンタクトセンター向けの通録システム「Full Time Recording」(全通話録音。以下 "FTR")をベースに、FTRで録音された通話内容(通録データ)を活用するためのさまざまなアプリケーションを提供しています。 
S&Iは、今回のベリント社のイベントで以下の二つの デモを展示することになっているのだそうです。
一つは、CTI情報を基にKPIをセットすることで、スーパーバイザーがモニタリングすべき通話を自動的に抽出し、オペレーター一人一人を効果的に把握・評価するとともに、コーチングや適切なeラーニングの受講に結び付けるなど、パフォーマンス主導型の品質管理を支援する「Quality Management」(応対品質管理。以下、"QM")。そしてもう一つは、会話の内容そのものや感情が高ぶる様子など、やりとりのディティールを評価対象として、分析・解析主導型の品質管理を支援する「Analytics Driven Quality Management」(分析型品質管理。以下、"ADQ")です。

画像: FTR とか QM とか ADQ とか…ただの略語なのでエニグマは不要です

イベント当日は、あらかじめ収録済みのデモ用の録音データから、QMおよびADQを使って会話の内容を「把握・管理・分析」する様子を来場者に見ていただくため、そのために必要なプラットフォームとアプリケーション一式を含むベリント社の統合ソリューション 「Verint WorkForce Optimizationソリューション」(ワークフォース最適化。以下、 "WFO" )を、 デモ機にインストールして展示することになりました。
そこで、通録システムの構築を手がける部署にデモ機の準備を依頼。通録システムの経験に長けた「ミスターK」ことK社員に白羽の矢が立てられた…ってことでミスターK、ご指名ですよ。

登場人物のリストを掲載?…なんか破滅への予感しかしないんだけど

【登場人物】                            
ミスターK ミスターK
この構築作業にあたるグループのリーダーで、名目上の黒幕。感情表現のために「フッフッフ…」や「ヌオオ…」などと実際に口に出すアイタタ系。デキるのに雑事は黒子任せ。しかも指示が大ざっぱ。英語で言うとアバウト。
黒子A 黒子A
ミスターKの配下にある実動部隊のメンバー・その1。見てのとおりの黒タイツ姿の痛い人だが、実によく働く。ミスターKの意向により本稿でのセリフはすべて「イーッ!」
黒猫T 黒猫T
実動部隊のメンバー・その2。黒タイツに猫耳まで付けてしまった痛い人だが、実によく働く。S&Iの階下にあるの運送会社様との関連性はない。本人の強い希望により本稿でのセリフはすべて「ニャー!」
黒ヒゲ幹部 黒ヒゲ幹部
黒以外のマスクの着用を許された実動部隊の上級幹部で、構築に際してアドバイスを出すなど、作業を実質的に取り仕切る影の黒幕。口数は少ない。濃いヒゲがマスクを突き抜けてしまうのが悩み。

注)この記事は、実際のデモ機構築作業の様子をモデルに書かれていますが、登場人物の設定や会話の内容などはフィクションです。 つか、こんな社員がいたらマジヒくわ!!

ミスターK「ふむふむ……。うむっ、委細承知!こんなこともあろうかと、密かに人材を確保していたのだよ。おーい、黒子Aと黒猫T~!」
黒子A「イーッ!」
黒猫T「ニャー!」
ミスターK「うむ。もうすぐデモ用のサーバーが一式届くので、資料を見てデモ機をこさえておくように」

記者・注 黒マスクとかマントとか「イーッ!」とか、なんかもう、踏み入ってはいけない領域へと迷い込んでしまったような気がしても、逃げちゃダメです、逃げちゃダメです。私なんて「いっそのこと突き抜けろ」という脅迫懐柔メールが届いたので、もう腹をくくりました。

さっそくミスターKから、デモ機構築の作業手順のメモ(下記)と、各作業の詳細を記した秘伝の「手順書」の情報が、黒子Aと黒猫Tへと共有されました。

  • 【これやって】―WFOデモ機構築
  • サーバーのキッティング
  • デバイスドライバーとファームウェアの収集
  • RAID構成の設定
  • サーバーOS、デバイスドライバーのインストール
  • アプリケーション(Verint WFO)のインストール
  • ライセンス登録
  • Verint WFOの設定
  • 録音機能の確認
  • QM評価機能の設定
  • SA分析機能の設定
  • 総合稼働試験

黒子A「イーッ!」(了解であります!)
黒猫T「ニャー!」(仰せのままに!)

ミスターK「ん~、忙しくてあんまり面倒見てやれないので、現場代理人も呼んどくか…。黒ヒゲ幹部くーん!」
黒ヒゲ幹部「………何スか?」
ミスターK「かくかくしかじか、というわけでデモ機の構築ヨロ」
黒ヒゲ幹部「………まさか丸投げじゃネっスよね?」

キッティング大好き「Kitti-Guys」、まかり通る!

展示用のデモ機一式(サーバー本体+オプション機器)は既に到着済み。黒子さんと黒猫さんのコンビ、まずはミスターKから手渡されたメモに沿って、サーバーのキッティング(組み立て)を始めます。

到着したサーバーやオプション群と納品書を照会しながら、品名と数をチェックして、さっそくサーバー本体のご開帳!大きな天板(カバー)をめくると、そこにはめくるめく微細プリントパターンの世界が……って、そこはそんなに楽しいわけではないのですが、とにかく新品のPCやサーバーを開ける瞬間はドキドキするものです。
ところが、本体内部中央のエアーバッフル(整流板)を外したところで いきなりアクシデント発生!

黒子A「イーッ!」(ミスターK、プロセッサーが1個多いであります!)
ミスターK「なんだと?もしや発注ミスか?…まあよい。余ったら余ったで、我々の検証機に組み込んで有効活用してくれるわ、フハハハハ!」

納品されたオプションの中に増設プロセッサーが2個あるのに、エアーバッフルの下から出てきた二つのCPUソケットのうち片方には、既にプロセッサーが搭載済み??? …そりゃそうですよね。プロセッサーがないとサーバーは動きませんから。でも、このサーバーは2ソケット(2Way)サーバーなのに、全部で3個のプロセッサーがあるということになります。はて……???

黒猫T「ニャー!」(標準搭載のプロセッサーを外して、別のプロセッサー×2個に交換するものと推測!)
黒ヒゲ幹部「余ったプロセッサー……検証機に合わない。残念」
ミスターK「ぐぬぬ…」

発注ミスではないことが分かり、安心してキッティングを再開。まずはプロセッサーの取り付けからです。

記者・注 ちなみに、このサーバーに標準搭載されていたプロセッサーは、インテル Xeon プロセッサー E5-2603 v2(1.80GHz/キャッシュ10MB/4コア)。しかし、これではパフォーマンスに不安があると判断されたのか、より上位のインテル Xeon プロセッサー E5-2609 v2(2.50GHz/キャッシュ10MB/4コア)×『2個』に載せ替えるため、キッティングの段階で合計3個のプロセッサーがそろったというわけです。
どちらも同世代の4コアプロセッサーですが、上位のプロセッサーにアップグレードして、さらに2Way構成にすることで、2.5~3倍程度のパフォーマンス向上※1が期待できそうです。
※1:SPEC CINT2006のベンチマーク結果からの大ざっぱな推測

System xへのプロセッサーの取り付けは、超・親切設計でとっても簡単!増設プロセッサーは、ソケットへの取り付け方向を間違えないよう、専用のガイドパーツが付いたままパッケージングされています。このガイドパーツ、プロセッサーを真上から「ガシッ!」とわしづかみにするようにくっついていて、このガイドごとソケットの真上に載せて、ガイド上部のダイヤル状のパーツを回せば、プロセッサーを正しい方向に向けたままソケットの上にリリースするようになっていました。

LGA2011ソケットには通常2本のプロセッサー固定レバーがあるのですが、このサーバーにはヒートシンクの固定用レバーも一緒に付いていて、レバーが全部で3本。レバーを上げる順番を間違えると、ネズミ取りのようにレバーがはね上がっ…

黒猫T「ニャー!!」 (ゆっ、指はさんだァ~!!)
黒子A「イーッ!」(今、説明している最中だったのに!猫がネズミ取りにやられるなよ!)

こんな感じで、時には指に絆創膏を巻いたりしながらも、黒子さんと黒猫さんらの手によってキッティング完了。できあがったサーバーは、Ivy Bridge-EPの8コア/8スレッド、キャッシュ20MB、32GB RAM、1GbEいっぱい、1GB RAIDキャッシュ付き……と、なんだか割と盛りだくさんなスペックになりました。

【このデモ機のスペック】
ハードウェア構成
サーバー Lenovo System x3550 M4 (1U ラックサーバー)
プロセッサー インテル Xeon プロセッサー E5-2609 v2 (Ivy Bridge-EP/2.50GHz/L2:10MB/4コア4スレッド)×2個、計8コア
メモリー 32GB (4GB PC3L-12800 DDR3L LowProfile RDIMM×8枚)
ストレージ I/F ServeRAID-5110 (6Gbps SAS/SATA×8ポート、1GB フラッシュ式キャッシュ付き)
内蔵ストレージ 約3TB:300GB 2.5型 SAS HDD×2台 + 600GB 2.5型 SAS HDD×4台
RAID構成 RAID 1×3アレイ (アレイ0:300GB×2台、アレイ1:600GB×2台、アレイ2:600GB×2台)、実効容量:約1.5TB
ネットワーク 1GbE×4ポート (標準:インテル I350AM4) + 1GbE×4ポート (PCIeアダプター:インテル I350 AM4)、計8ポート
ソフトウェア構成
OS Windows Server 2012 R2 Standard (←これから入れる)
前提アプリケーション Verint WFO v15.1 (←これから入れる)
画像: キッティング完了。ギッシリというほどでもないものの、初期状態に比べれば、HDD、ファン、DIMM、プロセッサー、RAIDアダプター、NICなどの増強により、かなりパワーアップしている

キッティング完了。ギッシリというほどでもないものの、初期状態に比べれば、HDD、ファン、DIMM、プロセッサー、RAIDアダプター、NICなどの増強により、かなりパワーアップしている

RAID設定で思わぬ苦戦!

サーバーのキッティングが終わったら、次はデバイスドライバーとファームウェアの準備……と、これはSystem xの「Bootable Media Creator」(BoMC)を使えば簡単。BoMCは、デバイスドライバーやファームウェアを一括更新する起動メディア(CD/DVD/BD/USBメモリー等)を作るツール。デバイスドライバーを探さなくても、勝手に最新版のドライバーをまとめてダウンロードしてくれますので、手間がかからず便利です。
 
さて、ドライバー類の準備はBoMCのおかげでとっとと終わり、次はOSのインストールです。
今回構築するサーバーのOSは、Windows Server 2012 R2 Standard。WFOの旧版では、Windows Server 2008までしかサポートしていない上、OSのサポート自体も「メインストリームサポート」の期間が終了していたのですが、最新版のWFO v15.1では Windows Server 2012 R2をサポートしているので安心です。

ミスターK「フフフ…。そういえば、我が初めて通録(通話録音システム)に触れた時のOSはWindows 2000 Server※2 だったわ…」
黒子A「イーッ!」(ミスターK、トシがバレますよ)
ミスターK「う、うるせぇー!! わ、我は席を外すゆえ、後は任せたぞ!」
※2:そういえば「Windows」に「Server」が続くOS名になったのは、「Windows Server 2003」からでしたよね。

ミスターKが外出し、ちょっと静かになったところで作業再開。秘伝の「手順書」によれば、「OSインストールの前にRAID構成の設定をしておくこと」だそうです。
 
そうそう、この「手順書」ですが、この中には、通録システムの構築の際のドライバー、ファームウェア、OS、アプリケーションなどの入手から設定方法が詳細に記録されていて、順番どおりに作業を進めれば構築が完了するというスグレモノ。もちろん、中に出てくる用語の意味ぐらいは知っておかないといけませんが、内容も最新版に対応するよう常に更新されているので、経験値不足のエンジニアでも安心の、S&I秘蔵のマジックアイテムなんです。
 
さて、今回ミスターKから指示されたRAID構成の設定内容は以下のとおり。

アレイ 0アレイ 1アレイ 2
物理ストレージ 300GB×2台600GB×2台600GB×2台
RAIDレベル RAID 1RAID 1RAID 1
パーティション C:100GBF:130GBG:558GB
E:78GBL:128GB
K:100GBI:300GB

全部で6台のHDDを↑このように三つのRAID 1アレイに割り当てて、さらに各アレイ内にパーティションを設定せよとのご指示。さっそくサーバーの電源を入れて、RAID設定開始です。

黒子A「イーッ!」(あれっ?なんだろ? RAID設定はうまくいったはずなのに、Windows Serverを入れようとするとエラーが出る?)
黒猫T「ニャー!」(設定内容は間違いない?)
黒子A「イーッ!」(うん。ミスターKからの指示どおりに設定したつもりなんだけどなあ…どしたらいっスか?黒ヒゲ幹部~」)
黒ヒゲ幹部「……ちょ、見せろ」

画像1: RAID設定で思わぬ苦戦!

黒ヒゲ幹部「……これ、MSRネェし」
黒猫T「ニャー!」(エ、エムエスアール??)
黒ヒゲ幹部「……カフェサン(café SANDI)の記者が説明する…しろ」

記者・注 ご指名みたいなので解説です。要約しますと、Windowsのインストールに必須の「システムで予約済み」(以下、"MSR")領域が設定されていないことが原因だったようです。
MSRはWindowsのセキュリティーツールや回復ツール用の領域で、通常、Windowsのインストールにおいて、インストール先の領域の容量(パーティションサイズ)を設定する際に、HDDの先頭部分に自動的に設定されるのですが、今回はWindowsのインストールを始める前に、先にRAID設定のためにHDDの容量いっぱいまでパーティションを割り当てていたせいで、WindowsがMSR領域を確保できず、エラーになっていたわけです。
つまり、最初にすべてのパーティションを設定するのではなく、まず全領域を未設定のままWindowsのインストールを始めて、「ドライブC:」のパーティションだけ設定してOSをインストールし終えてから、残りのパーティションを設定すればよかったんですね。

画像2: RAID設定で思わぬ苦戦!

黒子A「イーッ!」(あの黒マント野郎、指示が足りねぇんだよ!)
黒猫T「ニャー!」(事件は現場で起きてるのに、偉い人には分からんのです!)
黒ヒゲ幹部「……やり直し」


山さえ越えれば、あとは坂を下るだけ!

結局、RAID設定を一度リセットして最初からやり直し。とは言え、OSのインストールや設定を始める前だったので、無駄になった作業が少なかったのがせめてもの救いでした。今度は先に"アレイ 0"にWindows Server 2012 Standardをインストールしてから、ドライブE:とドライブK:のパーティションを設定。これで一件落着です。

その他には、サーバーにつないだ日本語キーボードが、いくら設定しても英語キーボードだと認識されてしまう問題が発生しましたが、こちらは以下のようにレジストリー値を変更して解決。日本語キーボードが無事に使えるようになりました。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\i8042prt\Parameters]
"LayerDriver JPN"="kbd106.dll"
"OverrideKeyboardIdentifier"="PCAT_106KEY"
"OverrideKeyboardType"=dword:00000007
"OverrideKeyboardSubtype"=dword:00000002

SQL Server 2014、WFO v15.1とも手順書どおりに進めて、特筆するようなトラブルも起きないまま、無事インストール完了。結局、トラブルらしいトラブルは、最初のパーティション設定のところだけでした。

黒子A「イーッ!」(もうすぐインストール完了…。なんだかスムーズに進みすぎて怖いぐらいだ)
黒猫T「ニャー!」(ホントに難なく進むこと…)
黒子A「イーッ!」(斜め七十七度の並びで ―途中省略― 難なく並べて長眺め。ハイ、言ってみて >猫)
黒猫T「ニャー!」(ニャニャベッ!!……)
黒ヒゲ幹部「……口より手、動かせ」

画像: トラブルなく進めば、インストール作業もまた楽しいもの

トラブルなく進めば、インストール作業もまた楽しいもの

黒子A「イーッ!」(終わったー!)
黒猫T「ニャー!!」 (終わったー!!)
黒ヒゲ幹部「……進捗、報告しとけ」
黒子A「イーッ!」黒猫T「ニャー!!」

  • 【これやって】―WFOデモ機構築
  • サーバーのキッティング こんなの楽勝、楽勝~♥(黒猫)
  • デバイスドライバーとファームウェアの収集 ヨユー、ヨユーっス~♪(黒子)
  • RAID構成の設定 (#゜Д゜)ゴルァ!!一発で終われるように指示しろや!(黒猫)
  • サーバーOS、デバイスドライバーのインストール 知恵と勇気で乗り越えた!(黒猫)
  • アプリケーション(Verint WFO)のインストール バッチ来い、バッチ来いっス~!!(黒子)
  • ライセンス登録
  • Verint WFOの設定
  • 録音機能の確認
  • QM評価機能の設定
  • SA分析機能の設定
  • 総合稼働試験

黒ヒゲ幹部「……………ま、いいか」

こうして、主役のはずのミスターK不在の中、黒子さんと黒猫さん、そして黒ヒゲさんの活躍によって、序盤の山場ともいえるOSとVerint WFOのインストール作業が完了しました。
なんかもう、作業工程の半分ぐらいまで来ちゃってるんですけど、このまま次回でフィニッシュしちゃったら、連載2回で終わっちゃうってこと?なんか、もうちょっと、こう、ワクワクドキドキするようなエピソードはなかったんですか、ミスターK?……って、いないんだった。どこ行ったんだよ、あの黒マント野郎は!

―つづく

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