最近、さまざまなメディアで「IoT」という語句をよく耳にします。IoT(Internet of Things)は日本語で「モノのインターネット」と呼ばれるのですが、直訳すぎといいますか、ちょっと省略されすぎているというか…誰がこんな訳を付けたのか知りませんが、正直なところ意味不明です。
例えば、ちょっと長くなりますけど、「身の回りのあらゆる『モノ』がインターネットにつながる仕組み」と覚えたら、IoTがどういうものなのか、おぼろげながら想像できるのではないでしょうか。
今回はそんなIoTの話題です。世の流行や先端技術の話はひとまず置いといて、IoTでどうやって儲かるかどうかもちょっと忘れて、初心者に戻ったつもりで読み進んでみてください。

「誰得」なデータを大量にゲットして活用。それもまたIoTの神髄??

今の世の中、PCやスマートフォンが当たり前のようにつながっていますが、IoTの世界では、身の回りのあらゆる「モノ」が、当たり前のようにネットにつながります。例えば「ネットワーク家電」や「IT家電」などと呼ばれる電化製品のように、ネット経由で便利に操作できる「モノ」もIoTの一部ですし、「モノ」自身がネットにアクセスしてデータを送信するという点もIoTの特徴です。

IT機器や家電品の他には、どんな「モノ」をIoT化すればいいのでしょう?例えば「オモチャに入れる乾電池」をIoT化してオモチャをリモコン操作しちゃうユニークな発想の「モノ」もあれば、「猫の自動給餌器」をIoT化してしまうという、同じ惑星の生活スタイルの中から生まれたとは思えないほどブッ飛んだ発想の「モノ」もあります。これらがIoTの好例かどうかはさておき、とにかくあらゆる「モノ」をネットにつなげてしまおう、ということらしいです。そうすることで、愛猫が餌を食べる時間帯や食事量の変化や、最も多い鳴き声のパターンのような、それまで想像したこともなかったようなデータが大量に蓄積されていきます。それ自体は、もしかしたら無価値なデータなのかも知れませんが、何か他のデータと組み合わせたら、とてつもなくレアでプレシャスな付加価値を持つ情報に化けるかも知れません。

猫自身は気ままに食事ができなくて、はた迷惑かも…

「Watson」+「IoT」=「Watson IoT」……ではありません

さて、ネットにつながった「モノ」、つまりIoTの「デバイス」には、センシングフィードバックという二つの役割があります。
センシングとは、デバイスの周囲の情報(データ)を集めることです。集める情報は温度、湿度、スピード、音声、画像など、デバイスによって異なりますが、それらを測定するためにセンサーを内蔵し、測定結果をデータ化して、ネットに送信します。
フィードバックはその名のとおり、センシングで得たデータをゴニョゴニョと処理した結果を還元することです。例えば測定結果や処理結果を画面に表示したりメールで通知したり(画像、動画、文字、音など)、処理結果に基いてデバイスを制御したり(温度、明るさ、速度など)、という仕組みです。

また、デバイスが測定したデータをインターネットに送るためには、PCやスマホをネットにつなぐ場合と同様、Ethernet、Wi-Fi、携帯電話回線(3G/LTE)などの通信機能が必須です。この通信機能をデバイスに内蔵、またはデバイスに接続することで、はじめてデータをデバイスの外側に送れるようになります。そして、送信されたデータをサーバーが受信して、データの解析やフィードバックのための処理をした後、処理後のデータをデバイスに返します。
デバイスからのフィードバックは、例えば、モニターがあれば文字や画像を表示し、スピーカーがあれば音声を再生し、バイブレーターがあれば振動…等、そのデバイスの種類によってさまざまですが、フィードバックまでができなければ、IoT化しても意味がありません。センシングだけしてもせめて測定値を表示しないと何の役にも立ちませんし、ネットにつながずにフィードバックできるのなら、それはIoTではありません。インターネットがなければ「IoT」もただの「T」です。

ところで、測定データが次々とサーバーに送られるのはいいとして、蓄積された膨大なデータを組み合わせて最適解を得るという処理はなかなか大変です。複数のカテゴリーのデータが数百個ずつあるだけでも、組み合わせるデータが2値、3値…と増えるにつれ、その組み合わせは天文学的な数字に達します。
そこで、膨大なデータの分析と組み合わせの処理のために、IBM Watsonにひと肌脱いでもらおう、というわけで、その橋渡し役となるプラットフォームが「IBM Watson IoT Platform」…って、名前そのまんまですけど、とにかくそういう関係なんです。

厳密にはWatson IoT Platformから直接Watsonにデータを渡せるわけではなく、IBM Bluemix上に用意されたAPI群(Watson API)へデータを渡すための、アプリケーションの開発が簡単にできる、というものです。処理できる内容はAPIごとに決まっていまして、例えばテキストの構文解析・言語の識別・翻訳・音声変換や、画像解析等、用意された処理しかできません。分析処理そのものはWatsonがやってくれるのですが、受け取れるのはWatson APIの出力だけなのです。ですから、各APIを組み合わせて複雑な処理ができるようなアプリケーションを作ることになります。
ちょうど、大火力の石釜に材料を入れればこんがりと焼いてくれるけど、入れるもの(パンとかピザとか…)は、用意された材料を使って自分で作れ、という感じですね。

アイディア次第でなんでもIoT化してなんでも活用。そのためのソリュ―ションが集まった!

先月のことですが、IBM Watson IoT Platformの「パートナーエコシステム」に参画している企業が、Watson IoT Platform対応のIoT開発ソリューション(デバイス、センサー、開発プラットフォーム、OSなど)や各種サービスを展示・紹介するイベントが開催されました。

立ち見続出。会場内で催されたライトニングトークのひとコマ

「IBM Watson Summit」でも見かけた、IoT化された「フーズボール」(=テーブルフットボール)のサンプル展示

IoTソリューションの開発環境の紹介ということで、出展企業の半数が、シングルボードコンピューター(ワンボードマイコン)、センサー、通信モジュールなどのハードウェアを展示していました。
ワンボードマイコンといっても、大昔の「TK-80」のような30cmもある基板ではなく、もっと小型で高性能な「Rasberry Pi」や「Arduino」のような、10cmぐらいの小さな基板を想像してください(想像できなければリンクをクリック)。要するに必要最低限のハードウェアだけで構成された小型PCです。
こういう写真だけでは、一見しても何なのか全然分からないとか、ハンダ付けが必要そうでなんだか難しそうだと不安になるかも知れませんが、こういう開発用の機器は簡単に回路の組み換えができるよう、棒状に加工された端子をボード上の穴に差し込むだけというものが多く、オリジナルの回路もブレットボード上に部品を配置してジャンパー線を差し込んで結線する、という感じですので、組み立てだけならガンプラよりも簡単だったりします。

イベントでは「IoTは流行(バズワード)から普及期に移行し、既にイノベーションのための武器としての活用が始まっている」というメッセージが印象的だったのですが、記者個人の所感としては、一般への浸透度はまだ極めて低く、普及期どころかバズワードにさえなっていないような気がします。少なくとも「センTンスSプリング」や「厳しい第三者の目」を超えてはいないでしょう。
IoTの概要や経済効果について説明してみても「何となくスゲエ?…のかな?」という印象しか持たれないのは、「あらゆるモノ」という、対象範囲が不明瞭な説明が原因のような気もします。
最近、各地域の電力会社は、各家庭に設置されている電力量メーターを、いちいち検針員が目視しなくてもネット経由で自動検針できる「スマートメーター」に置き換える作業を進めていて、2024年度までには普及率100%にする予定なのだそうですが、そういう話はほとんど話題に上りません。このまま「スマートメーター」とか「IoT」というキーワードを使わないまま静かに普及するのだとしたら「普及期に移行」という話にもうなずけるのですが……。

でも、よくよく考えてみれば、小型基板にマルチコアのプロセッサー、タッチセンサー付きの小型モニター、スピーカー、バイブレーター、3G/LTE回線、Wi-Fi、Bluetooth、メモリーカードスロット、USBポート、GPS、ジャイロセンサー、加速度センサー、近接センサー、照度センサーなどを組み込んで、さらに「リラッKマ」のカバーだって付けられちゃう、最も欲張りなIoTデバイス ―すなわち「スマートフォン」― がこれだけ普及しているのですから、案外知らぬ間に「気が付けばIoT」な世の中になってしまうのかも知れません。その瞬間を見逃すのももったいないので、この先、どんなところから広がっていくのか、興味深く見守っていきましょう。

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