こんにちは、エス・アンド・アイ株式会社 サービス部の岩谷です。

前回、クラウド(IBM Bluemix Infrastructure)を利用して最新のvSphere6の検証をしてみましょう、という内容の記事を書きました。

vSphere環境をIBM Bluemix Infrastructure(以下、Bluemix)に構築するのはとても簡単、ということはわかっていただけたかと思いますが、「でも、どうすればオンプレの仮想マシンをBluemix上に移すことが出来るの?」という疑問が残りますよね。

今回はこの事ついて書きたいと思います。

仮想マシンの移行の方法はひとつではない!

最新のvSphere6同士の仮想マシンの移行であれば、Cross vCenter vMotionという機能がありますので、vMotionで楽々移行できちゃいます。(※vSphere5.5までには無かった機能です!)

画像: Cross vCenter vMotionのイメージ図

Cross vCenter vMotionのイメージ図

ですが、今回は旧環境(5.5以前)からの移行を想定しているので、この方法は使えません。
では、どのような方法があるのでしょうか?

1. 「OVF」ファイルをエクスポート、インポートする

まず1つ目の方法。

仮想マシンはvmx(構成ファイル)やvmdk(仮想ディスク)などいくつかのファイル群によって構成されています。ESXiではこれを「OVF」と呼ばれる形式でひとまとめにしてエクスポートしてくれる機能を持っています。
そして、この「OVF」ファイルを新しい環境にインポートすれば移行完了! 簡単ですね。

画像: OVF移行のイメージ図

OVF移行のイメージ図

デメリットは、仮想マシンをOVF化する時に仮想マシンをシャットダウンする必要がある事です。
また、仮想マシンのディスクサイズが大きいとOVF化するのにも時間が掛かりますので、常時稼働していなければいけないサーバに対しては使えませんね。

「サーバを落としたくないがどうしてもOVF化したい!」という場合、対象サーバをいったんクローンして(クローンはシャットダウンしなくても可能)、クローンした仮想マシンのOVFをエクスポート、という方法もあります。ただし、クローン+OVF化をする為かなり作業時間が必要。

2. 構成ファイルを新環境のストレージにそのまま送る

2つ目の方法です。

「OVFってのがvmx(構成ファイル)やvmdk(仮想ディスク)などのファイルをまとめただけのものなら、それらのファイルをそのまま新しいvSphere環境のストレージにコピーしたらどうなるの?」と思ったあなた。良い勘してます。

結論を言うと、それらのファイルをそのままコピーしただけでも、仮想マシンとして動かせます。

画像: VMファイル移行のイメージ図

VMファイル移行のイメージ図

「じゃ、わざわざOVF化なんかしなくてもいいじゃない」と思うかもしれませんが、この方法は、
 1. ストレージを直接操作する権限が必要
 2. 移行するファイル種別・数が多くなるので移行時のファイル管理が煩雑になる
というデメリットがあります。
特に1は安全面に関してリスクがあります。例えばコピーの作業時にうっかり構成ファイルを消してしまった!というミスをしようものなら、その仮想マシンはもうお亡くなりです・・。

3. vCenter converterを使う

3つ目。

VMwareにはvCenter Converterという無償のツールがあります。
このツール、主に物理マシンを仮想マシンに変換する時に使う印象がありますが、仮想マシンを仮想マシンに変換(?)することも出来るんですね。

既存の環境の仮想マシンをvCenter Converterで吸い取り、新規環境の検証環境に吐き出すことで移行することが可能。しかもコレ、移行対象の仮想マシンをシャットダウンしなくてもいいんです。

画像: vCenter Converterによる移行のイメージ図

vCenter Converterによる移行のイメージ図

ただ、このvCenter Converterを稼働させるマシン(Windows)を別途用意する必要がある、かなり時間が掛かる、そして、時間を掛けた上にしばしば変換作業に失敗する(泣)、というデメリットがあります。

4. サードパーティ製のバックアップソフトのファイルをインポートする

4つ目。というか3.5つ目という感じです。

サードパーティ製のバックアップソフトウェアを使って、日々仮想マシンのバックアップを取っている、という方には朗報です。

そのバックアップファイルがあれば、前述のvCenter Converterで簡単に仮想マシンをインポートすることが出来ます。

画像: バックアップファイル移行のイメージ図

バックアップファイル移行のイメージ図

VMwareさんの資料からの抜粋ですが、最新のvCenter Converter 6.0では下記のソフトウェアをサポートしています。

■ Acronis True Image Echo 9.1 and 9.5, and Acronis True Image Home 10 and 11
(.tib).
■ Symantec Backup Exec System Recovery (formerly LiveState Recovery) 6.5, 7.0, 8.0,
and 8.5, and LiveState Recovery 3.0 and 6.0 (.sv2i format only).
■ Norton Ghost version 10.0, 12.0, and 14.0 (.sv2i format only).
■ Parallels Desktop 2.5, 3.0, and 4.0 (.pvs and .hdd). Compressed disks are not
supported.
■ Parallels Workstation 2.x (.pvs). Compressed disks are not supported. Parallels
Virtuozzo Containers are not supported.
■ StorageCraft ShadowProtect Desktop, ShadowProtect Server, ShadowProtect Small
Business Server (SBS), ShadowProtect IT Edition, versions 2.0, 2.5, 3.0, 3.1, and 3.2
(.spf).
■ The Microsoft VHD format for the following sources:
■ Microsoft Virtual PC 2004 and Microsoft Virtual PC 2007 (.vmc)
■ Microsoft Virtual Server 2005 and 2005 R2 (.vmc)

どうやってデータを運ぶか?

さて、上記で移行方法には色々な方法がありますよ、ということを示しましたが実はもう少し面倒な問題が存在しているのです。

それは『どうやってデータそのものをBluemix内に運び入れるか』という問題です。

仮想マシンというはマシンそのものですから、当然データ量としては大きいです。さらにシステムというのは何台ものサーバから成り立っているでしょうから、当然移行する場合にはその全てのサーバを移行する必要があります。
つまり、だいぶ大きいサイズのデータ群をBlumixの中に運び込まなければならない。
この「大きさ」が問題になってくるんですよね。

1. インターネット経由のSSL-VPNでコツコツ送る

Bluemixにはデフォルトで無料のSSL-VPN環境が準備されており、理論上ではこの回線を使ってデータを移送することも出来ます。ですが、この回線はあくまでデバイスに対して接続するための運用回線となり帯域も細いので、ギガレベルのデータを送ることは推奨出来ません。

ということで、Bluemix上に自分専用のSSL-VPNサーバ(オープンソースのOpenVPNなど)を準備し、インターネット経由からでコツコツとデータを送ります。

時間は掛かりますが、環境準備が簡単なのがメリットです。

画像: SSL-VPNを使ったデータ移動のイメージ図

SSL-VPNを使ったデータ移動のイメージ図

2. IPsec-VPNでサイト間をつなげる

IPsec-VPNを利用し、現行のサイトとBluemixを隣接ネットワークにするという方法です。
サイトツーサイトVPNと呼ばれてる方法。現行サイトとBluemixにそれぞれVPN装置が必要です。
Bluemix側では、サービスとして提供されている「IPsec VPN」もしくは「ゲートウェイアプライアンス」にて実現が可能です(または仮想サーバを1台オーダーしてVyOSなどのオープンソースソフトウェアを使う、といった方法も可能です)。
※現行サイト側のVPN装置は、仮想/物理で色々な選択肢がありますのでここでは割愛します。

一度つながってしまえば構内LANと同様のオペレーションでデータを送ることが出来ます。

ただし、こちらも1と同様、転送時間は長くなると考えた方が良いです。

画像: IPsec-VPN(Site to Site)を使ったデータ移動のイメージ図

IPsec-VPN(Site to Site)を使ったデータ移動のイメージ図

3. 専用線を引く

VPNではなく、実際に物理的に専用線を引いてしまう、という方法もあります。
Bluemixで「Direct Connect」サービスをオーダーし、またクラウド接続サービスを提供している回線業者さんに回線をオーダーする必要があります。

他の方法に比べて、コストがかなり高くなると思いますが、専用線だけにスピードと安定性は抜群。

移行するデータが非常に大きい場合や、移行後にはBluemixと現行サイトのハイブリッド環境で使い続ける予定があるといった場合には、検討しても良いかもしれません。

画像: 専用線を使ったデータ移動のイメージ図

専用線を使ったデータ移動のイメージ図

4. トラックで運ぶ!

ネットワークで送れないなら、トラックで運んじゃえ!

これは冗談ではありません!Bluemixには「Data Transfer Service」と言う、Bluemix内にメディアを持ち込むことの出来るサービスがあります。

ただ、実際には自分でトラックを運転して持っていくわけではなく、メディアを郵送するとBluemixのデータセンター内の機器に接続してくれる、というサービスになります。

ですので、あらかじめ仮想マシンのデータ群をHDDディスクなどに保存し、このディスクを郵送することになります。Bluemix内のサーバへのマウントもサービスとして実施してくれるので、これでデータを簡単に取り出すことが出来ます。

画像: Data Transfer Serviceを使ったデータ移動のイメージ図

Data Transfer Serviceを使ったデータ移動のイメージ図

結局どの方法がいいのか?

ここまで色々と仮想マシン移行の方法を書いてきましたが、「じゃ、結局どの方法が一番なの?」と疑問をお持ちのことかと思います。

ですが、残念ながら「この方法がベストだ!」と言い切ることはできません。
システムは構成や運用方法が多様であり、それぞれに合わせた移行計画が必要となるからです。

ただ、私が強調したいのは、結局のところなんとかなります!もしくは「我々がなんとかします!」です。

というわけで、迷ったらぜひエス・アンド・アイまでご相談ください。

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