ちょっと聞いてくださいよ。今回のネタと関係してるんだけどさ、先日『林先生が驚く初耳学』観たんです。
そしたらなんか字幕スーパーがめちゃくちゃいっぱいで…。
で、よく見たら、でっかいスーパーが出て、『実演販売士・レジェンド松下』『たった1日で1億8000万円売上』『プレゼン術の全てを林先生が徹底分析』とか書いてあるんです。
もうね、CMかと。通販かと。
売上1億8000万円ごときで、普段見向きもしない実演販売士の話になんて興味持ってんじゃないよ…
って、1億8000万円って「ごとき」じゃないですし、興味持って観たのは私でした。

な~んて、今回はレトロな吉野家コピペっぽく始めてみましたが、人気の実演販売士・レジェンド松下さんの話術を「今でしょ!」の林修氏が分析。その話し方のコツがプレゼンテーションや面接、文章を書くときにも役立つということで、滅多に見ることのないテレビの前に砂をかぶるかのように近寄って、「へぇ~っ」と感心していたときの話です。

全ッ然関係ない話ですが、レジェンド松下さんって、その昔、横浜スタジアム(ハマスタ)でコーヒーの売り子さんやってたらしいんです。記者もハマスタに行くと、ベイスターズが勝っている時はビール、負けている時はコーヒーを飲んでたので、結構お世話になったのかも…全然記憶にないけど、当然アッチも記憶にないでしょうね。

「普通じゃない」は「異常」も含めてだけど「特別かも」ってこと!

番組の中では、実演販売士の話し方の特徴として、「『普通/一般的』との比較がうまい」「『序破急』のテンポ」の2つを挙げていました。

まずは「普通/一般的」との比較ですが、実演販売の際には、オススメの商品の紹介をする前に、「普通の商品」や「一般的な商品」の話をするのだそうです。

「皆さんの家にも皮むき器はありますよね?皆さんが一般的に持ってるのって、こういうのじゃないですか? これは皮を切ってるんじゃなく、引っかいているだけなんです」

比較広告でもよく使われる手法ですけど、まず「普通」とか「一般的」な商品を取りあげて、その問題点を指摘するわけです。普通の商品ですから、多くのお客様が実際に使っていて、どの程度の品物かは十分知っているわけで、少なくともここで「わぁ、スゴイ!」なんて言う人はいません。
そして「~じゃないですか?」と共感の喚起を促してお客様を引き付けて、そこですかさず、オススメ商品の紹介・実演です。オススメの皮むき器でスス~ッと皮をむいて見せて一言。

「一般的な皮むき器と何が違うのか見てください。切ったあとの切り口が明らかに違うのが分かると思います。普通の皮むき器と違って抵抗がほとんどありません」

こんな風に、一般的なものとの対比を明確化することで、スペシャル感が増すわけですね。

画像: 「普通じゃない」は「異常」も含めてだけど「特別かも」ってこと!

もう1つ大事な点が「伝えたいことだけをいきなり強調しても相手に伝わらない」ということです。いきなり「この皮むき器はスゴイんです。見てください!」と始めたとしたら、「なんで見なきゃいけないの?別に困ってないし」なんてことになりがちですよね。つまり、まず相手の共感を得て「話を聞いてもらう受け入れ態勢」を作り出すことが重要、ということです。
そんなの基本だと言われればそうかも知れませんが、引き込まれてしまうと気付かないもので、かく言う記者も、昔、アキハバラデパート前の実演販売で、なぜかそんなに欲しくもなかったはずの「トッパー缶切り」を買って帰ったことがあります。まあ、それなりに役立ってくれたのでいいのですが、最高級の木彫りの熊とか18金のガンプラとかの実演販売じゃなくて、本当によかったです。
※「18金ならプラモではない」というツッコミはご容赦願います。

序破急(ジョハキュー)って、小田急とか富士Qハイランドとは無関係なんだって

この「最初に共感を得る」という点が、もう一つの特徴『序破急』(じょはきゅう)につながります。劇場版『ヱヴァンなにがし』のタイトルにも序・破・Qって付いていましたけど、これも序破急の影響らしいです。あ、小田急と富士Qはホントに関係ないです。

『序破急』はもともと日本の雅楽を構成する三要素のことで、ゆるいテンポでリズムのない『序』、ゆっくりとしたリズムの『破』、そして早いテンポとリズムの『急』からなる三部(3楽章)構成を指します。それを室町時代の能の大家である世阿弥(ぜあみ)が、能楽の基本理念であり、芸道一般に通じると著書『風姿花伝』に記したことから、音楽、舞踊、演劇、脚本のほか、武道や茶道などでも使われる概念となっています。

画像: 序破急(ジョハキュー)って、小田急とか富士Qハイランドとは無関係なんだって

もちろん、すべてのジャンルで共通した概念というわけではなく、少し意味は変わるのですが、それでも根っこの部分は似たような感じの意味で使われるようです。

  • 音楽 ☞ [序]ゆっくり / [破]中間 / [急]早く
  • 能  ☞ [序]導入 / [破]展開 / [急]結末
  • 舞踊 ☞ [序]楽に / [破]変化に富ませ / [急]短く軽やかに
  • 演劇 ☞ [序]静かにゆっくり導入 / [破]突然展開が変わる / [急]急速に完結

要するに、緩急の変化のセオリーテンプレートというわけですね。
それで冒頭で吉野家テンプレを使ったわけですが、過ぎたことなのでそっちは忘れてください。

伝統芸能だけでなく、ハリウッドムービーやロックミュージックのライブでも「序破急」は王道の展開と言えます。最初にキャッチーな曲やシングルカットを持ってきてオーディエンスの心をつかみ、中盤でバラッドや超絶ギターソロなんかを披露してサプライズを与え、後半はどんどんテンポを上げてって大盛り上がりのうちに終わる。すると、会場からは「アンコール、アンコール」の嵐!みたいな感じですね。

商談に有効なテンプレ?なにそれ、おいしすぎじゃない!?

この「序破急」、当然プレゼンでもとても効果的なわけですが、林先生の番組では、実演販売における「序破急」の構成を、次のように説明していました。

  • 「序」:安心感を与え信頼をつかむため、ゆっくりしたテンポで商品の「一般的」な話をし、相手の共感を得て心を開いてもらう
  • 「破」:商品のメリットや使い方を説明するために、少しテンポアップ。「普通」とは違うサプライズを与える
  • 「急」:クライマックス。商品の良さを印象付けるためにさらにテンポを上げ、まとめに入る

「まず共感を得て、途中で展開を変え、最後はラストスパート」というこのテンプレート、決してプレゼンだけでなく、すべての商談の場で使えると思いませんか?

よく「ラポール」なんて言ったりしますが、最初に共通の話題相手のお子さんの近況なんかに触れ、商談の場を「話しやすい、信頼感のある場」にする。このアプローチは、同時に、相手に対して「自分目線ではなく、あたなの立場に立っていますよ」というメッセージでもあります。
「この人は、押し売りではなく、本当にこちらのニーズを理解した上で適切な提案をしてくれる」という印象を与えた上で、しっかりと商談を進めれば、こちらの提案、つまり「序破急」の「破」のパートに満足いただける確率は上がるのではないでしょうか。

が、しかし!商談において最も大切なのは最後。そう、クロージング。「注文書」を得るのが一番難しいですよね。提案は気に入っていただけたはずなのに、「ごめん、ここのところ忙しいから、落ち着いたら例の件、進めるから」とか、「今、稟議にちょっと手間取ってて…もうじきだから」とか、「上から『今すぐじゃなくても下期や来年でもいいのでは?』って言われちゃってさ」なんてセリフ、よく聞かされますよね。そう、人は必ずいざという時に迷うんです。
「分かりました、お待ちしております。ゆっくりご検討ください」なんて言ってしまったら最後、別の男性、もとい、会社からの誘いを受けてしまったり、盛り上がってたすっかり熱が冷めてしまったり…。そうなると、もうあなたの元に彼女は、もとい注文書が届くことはないでしょう。

だから、最後は「急」がすべて。あの手この手で押しまくり、営業で言うと「今月末までならキャンペーンやってます」、「来月以降だとこの商品がいつ入荷するかちょっと不明です」といったような対応がそれですね。

そう、まさに恋愛テクと同じなんです。前述の実演販売士いわく、なんでも「告白をするときは、序破急を逆から始めるパターンが多いから失敗する」のだと…。たしかに、そのつもりはなくても焦って最初から急ぎすぎちゃったり、まだ「共感を得る関係」ができてもいないのに、いきなり「サプラ〜イズ」なんて仕込んじゃって、ドン引きされたり…。

  • 伝えたいことだけを強調しても伝わらない
  • 信頼関係を築くところから始めれば、スムーズに伝わる

なんだか最後は、仕事より恋愛を意識した書きっぷりになっちゃいましたが、簡単なことのようでできていない、でも、ちょっと意識して工夫すればいろいろ上手に進められそうなこの「序破急」、ぜひ実践してみてはいかがでしょう。


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