Windows 10を新規にセットアップ途中、「パスワードは時代遅れです」という画面が表示されることはご存知でしょうか。実は記者も「あれ?こんな画面、出たっけ?」というぐらい記憶になかったのですが、記者の場合、それまで Windows 8.1→10へアップグレードして使っていたので、この画面を見るのは初めてだったのかも知れません。
これは、従来のWindowsへのサインイン用のパスワードではなく、PIN(ピーアイエヌ)と呼ばれる暗証を使うよう促す表示です。「PIN?なにそれ?」と思った方も、「PINとは携帯電話のSIMカードのロックにも使われている4ケタの暗証番号」だと聞けば、PIN(ピン)とくるのではないでしょうか。

画像: Windows 10のインストール時、画面には「パスワードは時代遅れです」と大きく表示される

Windows 10のインストール時、画面には「パスワードは時代遅れです」と大きく表示される

でも、数字と文字と記号を何ケタも組み合わせればいくらでも複雑にできるパスワードが、数字だけのPINより時代遅れと言われても、「それって逆じゃない?」とか、ちょっと疑問に思いますよね。
「Windows」と「PIN」で適当にググると、解説記事がたくさんヒットするので、詳しくはそちらをご覧ください(笑)。要はパスワードを知られるとリモートから悪用されるけど、PINだと暗証番号がハードウェア(PC)と紐付けられるので、PCごと盗まれない限り大丈夫、という理屈らしいです。

長いケタ数にも対応するけど、"1234567…"や"9999999…"とかじゃ無意味

ところで、携帯電話やスマホでは、PINを3回間違えるとSIMカードにロックがかかるのですが、WindowsのPINにはロック機能がなく、何度でも入力し直せます。それじゃあPCごと盗まれちゃったら意味ないじゃん!!…と、思ったら、Windows 10のPINコードって、4ケタよりも長くできるんですね。SIMカードのPINは4桁ですし、Windows 8.1までは5ケタ目を入力すると「PINは4桁です」とエラー表示が出ていたので、記者もPINコードは4ケタまでと思い込んでいたのですが、Windows 10では64ケタまで設定できるそうで、それなら少しは安心です。少しですけどね。

とはいえ、数字ばかり何ケタも記憶するのは面倒。円周率みたいに語呂合わせで覚えるのもいいのですが、そういう有名な数字だと「1ケタ飛ばし」とか「偶数ケタを2倍する」とか、他人に類推されにくいルールを加えないと破られてしまうかも知れません。だったら暗証番号そのものを類推されにくくすればいいわけで、そしたら語呂合わせで覚えてるのが一番で…あ、振り出しに戻っちゃった!!

画像: ひらがな&ケタ数限定のパスワードよりは、数字だけのパスワードの方がいくらかマシだと思うのは記者だけだろうか…

ひらがな&ケタ数限定のパスワードよりは、数字だけのパスワードの方がいくらかマシだと思うのは記者だけだろうか…

まあ、そうネガティブに考えると不安が増すばかりですが、『そこでWindows Helloですよ!!』と、マイクロソフトがまるでJャパネットばりに声を大にしてオススメしているので、「今さら」というフレーズは忘れてもらって、実際にどう使うのか、今一度見てみましょう。

生体認証機能をサポートする『Windows Hello』

Windows HelloはWindows 10の生体認証機能です。指紋認証、顔認証、および光彩認証 をサポートしていて、PC本体を盗まれても、本人の指紋や顔などを使って認証しないとサインインできない、というものですね。
今までにも指紋認証はあったのですが、それは各メーカーが独自に認証デバイスと認証アプリを用意していただけで、それをOSで正式に対応させたものがWindows Helloです。生体認証がOSの標準機能になったことで、メーカーごとの仕様の差が原因のトラブルが解消されるというわけです。

Windows Helloがサポートする生体認証デバイス
  • 指紋認証:PCに標準搭載またはUSB接続の指紋リーダー (指紋センサー)
  • 顔認証:Windows Hello対応の3Dカメラ
  • 光彩認証:将来対応予定 (対応デバイス未定)

実際に各認証機能を試してみたいところですが、光彩認証はまだ対応デバイスが出回っていないので、今回はスルーです。

指紋認証は従来のデバイスがほぼそのまま使える

画像: Windows Helloでは、PCに標準装備されている指紋リーダーやUSB接続の指紋リーダーが利用できる 左)記者愛用のThinkPadの指紋リーダー 右)DDS社のUSB接続型指紋リーダー「UBF-Hello」と「UBF-Cube」

Windows Helloでは、PCに標準装備されている指紋リーダーやUSB接続の指紋リーダーが利用できる
左)記者愛用のThinkPadの指紋リーダー 右)DDS社のUSB接続型指紋リーダー「UBF-Hello」と「UBF-Cube」

まずは指紋認証。Windows Helloの指紋認証機能は、指紋リーダーを搭載しているPCなら、ほとんどの場合そのまま利用できます。
また、指紋リーダーがなくても、Windows Helloに対応したUSB接続の指紋リーダーを取り付けることでも利用できます。
 
※メーカーのサポートページ等で、指紋リーダーがWindows Helloに対応していることをご確認ください。

設定はとっても簡単。Windowsの[設定]メニューから、[アカウント]-[サインインオプション]の順に選んで、指紋認証の[セットアップ]から、セットアップ画面の指示に従って、何度か指紋を読み取らせるだけです。

でも、登録が指1本だけだと、指先をケガしたときに、包帯や絆創膏を貼ってしまうとサインインできませんので、[別の指を追加]をクリックして、ほかの指の指紋も登録しておくといいですね。
登録できたら、試しに一度サインアウトするか、画面をロックして、隣の席の人の指を置いてみてください。天文学的な確率の偶然でも起きない限り、デスクトップ画面は表示されないはず、って、これじゃあ、今までの指紋認証の登録が簡単になったことしか分かりませんよね。
よーし、それじゃあ……。

顔認証機能は、スマイルマークが微笑んでお出迎え

お次は顔認証機能。こちらは、PCにつないだカメラでユーザーの顔を映して認証させるわけですが、たいていのノートPCにはカメラが内蔵されているので、それもそのまま利用して……というわけにはいかないらしいのです、残念ながら。
顔認証はユーザーの顔の特徴をデータ化して認証に使っていますが、それだけだとカメラに顔写真をかざしても認証できてしまいます。そこで、写真ではなくリアルな本人確認のために、赤外線で顔の奥行きも認証データに加えています。つまり、奥行きを検出できるカメラが必要になるわけですが、Windows Helloがサポートしているのは、インテルの「RealSense」という3Dカメラだけ。PCメーカー各社がRealSenseカメラ搭載製品を発表していますが、まだまだ数は少ないのです。
※RealSenseは、通常のカメラと、赤外線カメラ、および赤外線レーザープロジェクターを搭載し、奥行き情報の取得や撮影対象の動きの追跡が可能な3Dカメラ。

そんな特殊なカメラがいるのなら、顔認証機能はパス!? と思ったでしょ?

こんなこともあろうかと、USB接続のRealSenseカメラを用意しておいたんだ。すぐに取り付けるから待っててくれ!」

…と、記者の脳内技師長が、Windows Hello対応の顔認証カメラを用意してくれていました。お値段、Aマゾンで税込み7,836円、送料無料(2017年3月10日現在)。取り付けも脳内技師長が慌てて急いで正確さを期すまでもなく、USBポートに差すだけであっさり完了しました。今回はモニターの上部に引っ掛けるように設置しましたが、スタンドを立てて卓上型としても使えるという、お値段の割になかなか小粋なギミックを持っています。

こちらの設定も超・簡単。やはりWindowsの[設定]メニューから、[アカウント]-[サインインオプション]の画面から設定するのですが、カメラを取り付けたことにより、今度は顔認証の[セットアップ]ボタンが増えているはずです。これをクリックして、自分の顔をカメラに映すだけです。
カメラを数秒間まっすぐ見続けるだけで、Windows Helloが顔の特徴を読み取ってデータ化して、自動的に登録が完了します。
登録はメガネをかけたままでもできるのですが、メガネのフレームが変わると認証できなくなることがあるそうなので、[精度を高める]をクリックして、メガネを外した顔も登録しておくといいでしょう。別のメガネで認証できない場合でも、素顔で認証できれば、そのメガネをかけて登録を追加できますからね。
これから花粉の時期なので、マスクを一日中着けている人もいるでしょうけど、マスクしたら認証できませんのでご注意を。それなら、マスクを着けた状態で登録してみたら?と思って着けてみたのですが、マスカラスのマスクでは登録できませんでした。でも、ライガーのマスクならあるいは…。

ところで、設定は簡単でしたが、具体的にどう動くのか、手っとり早く Windows 10のロック画面で試してみることにしました。

ロック画面が表示されると、画面中央に 目のようなアイコン←目のようなこんな形のアイコンが登場して、カメラの赤外線センサーをチカチカさせながら、同時にアイコンがきょろきょろしながらユーザーを探し始めます。
でも、スマホのクロンダイクで遊んでいて忙しかったので、ちょいとチラ見だけしたら、「カメラをまっすぐ見てください」と怒られてしまいました。なんか目のアイコンも怒っているのかあきれているのか、そんな感じに見えたので、今度は目だけではなく顔ごとカメラに向けたら、一瞬で認識してくれました。なにコレ、スゲぇ!! 顔パスですよ、顔パス!

なんか、アイコンもスマイルマークのようなアイコン←スマイルマークみたいに変わったし! つか、アメリカ人って :)←このテのマーク好きだな~。
 
そういえば、設定画面内で「ユーザーの顔を認識したら自動的にロック画面を閉じる」という項目をONにしたはずなのに、顔認証できてもロック画面は自動では閉じず、何かのキーかマウスのボタンを押さなければ戻れませんでした。
まあ、顔認証できても、必ずしもキーボードに手が届く距離にいるとは限らないので、ワンクッションあっても問題ありませんけどね。それに、Windowsへのサインイン時は、顔認証したら即デスクトップ画面が表示されますし。

いちばん肝心なことは「役に立つかどうか」なんだけど……

では、これらの生体認証機能が、実際にどう役立つのか考えてみましょう。 
まず、顔認証なら、指紋もPINもパスワードも不要。顔写真ではなく本人のリアルな顔がパスワード代わり、略して「顔パス」。写真や動画では認証できませんので、盗まれようがありません。
双子や三つ子だったら…というのも当然対策が取られているようで、見分けが付かないほど瓜二つな一卵性双生児でも、ちゃんと見分けてくれるそうです。また、女性がメイクを落としてスッピンになっても、まつ毛を盛りまくっても同一人物だと認識するようです。
ただし、顔データの登録時の状況にもよるようなので、何パターンかの顔を登録して精度上げておけば、より確実なのだとか。

【参考】Challenge Windows Hello (動画)
 ☞ 双子も見分ける Windows 10の「顔認証」その精度を検証
 ☞ 双子も見分ける Windows 10の「顔認証」ここまでやってみた

でも、認識精度が高くてセキュリティー面がしっかりしているとはいえ、実用性の面では正直なところまだまだ、というか、全然足りないという感じです。例えば、Windows Helloの指紋認証や顔認証は、Windowsストアアプリの決済に対応しているものの、それ以外の認証には未対応。ローカルでサインインするのには便利ですが、ネットワーク上での活用はまだ先の話になりそうです。

ちょっとフライング気味だけど、便利なので早期の普及が望まれる

ってことで、今のところ実用的と呼べるのは、Windowsへのサインインが顔パスや指先だけでできることぐらい?それでもキーボードに触れなくてもいいのはやはり便利ですね。顔認証だったら、PCの電源入れて、カメラにちょっと顔を向けたら、はい、サインイン。きな粉パン食べながらだってサインインできちゃいますし、ほっぺたにきな粉がくっついてたって認識してくれるんですよ!! って力説されても困りますよね( ´ω`)ゞ
冗談はさておき、今すぐ必要というわけではないのですが、それでも指紋認証は多くのPCに搭載されているので、あるのなら使わないともったいないと思います。今後ネットバンキングやクレジットカード決済など、ほかの認証でもWindows Helloが使えるようになると、もっと便利になるのは間違いないでしょう。指紋と顔認証の両方が必要な二要素認証にすれば、より安全性は高まりますしね。その辺はマイクロソフトの布教活動(?)の手腕に期待するしかありませんけど。
 
それにしても、指紋認証にせよ顔認証にせよ、どちらも数千円のハードウェアでできる時代になったのですから、もっと普及に弾みを付けてもらって、銀行のATMや企業の入館証など、いろんなところで生体認証が使えるようにしてほしいですね。

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