ICT技術の進歩により、時間や場所を有効活用した柔軟な働き方「テレワーク」。企業がテレワークを導入して働き方を改革するためには、制度やルール作りが欠かせませんが、いっぽう、テレワークのためのインフラやツール類も必須です。テレワーク向けのソリューションといえば、通信回線やPC・モバイルを含む端末のほか、コミュニケーション、コラボレーション、セキュリティー、労務管理などのツールを連想すると思いますが、先日、あるイベント会場に行ったとき、そうしたお約束のソリューションではなく、テレワークに役立ち"そうな"、少し変わった視点から選んだソリューションを出展しているブースがありました。ちょっと面白かったのでご紹介してみます。

レノボはテレワークの意外な「裾」を引っ張り始めたのかも

見出しに書いちゃいましたけど、その出展ブースとはThinkPadでおなじみのレノボのブース。その日はクラウド関連のイベントだったのに、ブースには「レノボのテレワーク製品」という看板が掲げられていました。クラウドに関係がないこともないのですが、何を展示しているのかと思って近付いてみたら、そこにあったのは普通のThinkPad…って、え?あれ?
 
記者「これ、普通のThinkPadみたいですけど、どこか特別なんですか?」
担当者「これは、画面にプライバシーフィルターを付けています」

のぞき込み防止用のプライバシーフィルターが、テレワークと何の関係が…あっ!「外での利用時の情報漏えい対策」ってことね!! 確かにローテクながらも一定の抑止力はありますね。だからロングセラー商品になっているわけですし。
なるほど、そっち方面で攻めてきたかー、と思いながら、受け取ったパンフレットをながめていたら、「快適オプション」として、予備のACアダプターが掲載されているし…。確かに、ACアダプターが複数あれば、いちいち持ち歩かなくていいので、その分快適になりますよね。あいたたた、そこを訴求してくるか~。灯台下暗しというか、傍目八目(おかめはちもく)というか、ラーメン丼の底にまだチャーシューが残ってたときのような気分です(笑)。

画像: レノボのテレワーク向けモバイル製品(配布資料より)

レノボのテレワーク向けモバイル製品(配布資料より)

そんなイヤハヤな紹介ばかりではなく、思わず欲しくなっちゃうようなモノもありましたよ。例えば、「ThinkPad Stack モバイルプロジェクター」。ThinkPadの名を冠していますが、これは名前のとおり持ち運びに便利な小型プロジェクターです。写真ではサイズが分かりにくいのですが、幅136mm×奥行き76mm、重さは361g。設置スペースは千円札ぐらいの『手乗りプロジェクター』です。

画像: 持ち運びに便利な手のひらサイズ(幅136mm)のプロジェクター「ThinkPad Stack モバイルプロジェクター」(左)と、必要に応じてHDD、Wi-Fiルーター、バッテリー、Bluetoothスピーカー&マイク機能を追加できる「ThinkPad Stack プロフェッショナルキット」(右)

持ち運びに便利な手のひらサイズ(幅136mm)のプロジェクター「ThinkPad Stack モバイルプロジェクター」(左)と、必要に応じてHDD、Wi-Fiルーター、バッテリー、Bluetoothスピーカー&マイク機能を追加できる「ThinkPad Stack プロフェッショナルキット」(右)

PC画面を投影できるのはもちろん、プロジェクター自身がAndroid OSを搭載していて、天面のタッチパッドで操作可能。さらにWi-Fi接続されたタブレットやスマートフォンの中のファイルも投影できます。モバイルなので、もちろんバッテリー駆動も可能(最大70分)。しかも液晶ではなくDLP方式を採用しているので、色再現性が高く残像が少ないのはもちろん、ウォームアップを待たなくていいし、排熱も少ないのでファンの音も静かとキたもんだ。それでいてこのサイズは『あっぱれ!』あげちゃってイイでしょう。
また、Stackの名が示すとおり、プロジェクター本体に、Bluetoothスピーカー&ノイズキャンセリングマイク、拡張バッテリー、ワイヤレスルーター、およびHDDの各コンポーネント(いずれもオプション)を重ねるだけで拡張できちゃう合体メカ。記者が好んでネタにしそうな秘孔を的確に突いてきやがります。出張先でのプレゼンにはもちろん、会議室がなくても、そしてPCがなくても、何人か集まったらその辺の壁に投影して、席が遠い人や遠隔地の人とはネットワーク経由で会話、なんてことも可能になるわけです。いいでしょ!?

画像: PCじゃないけど ThinkPad 。 トラポないけど ThinkPad 。 Android OSだけど ThinkPad 。

PCじゃないけどThinkPad。 トラポないけどThinkPad。 Android OSだけどThinkPad

ほかにもバッテリーユニットでスマホを充電できたり、ルーターユニットに3G/4Gカードを追加すればキャリア回線でネットワーク接続できたり、HDDユニットとルーターユニットでネットワークドライブになったり…と、テレワークどころか、パーソナルユースでも活躍してくれそうなので、鼻息ムフーッ!!とさせながら『ほしい物リスト』に書き足してしまいました。またボーナスの使い道に悩むことになりそうです。
 
※ルーターユニットでのネットワーク接続には、バッテリーユニットを積み重ねるか、別途給電が必要です。

ThinkPad Stack以外にも、デバイスの位置情報の追跡や遠隔データ消去を可能にするソリューションや、ストレージの暗号化、電話会議用のマイクやヘッドセット…まあ、この辺は普通にテレワーク向けで、あとは薄型軽量+大画面タイプのThinkPad、手書き対応のYOGA BOOKなど、携帯性を重視したPCが紹介されていました。どれも目新しいというわけではないのですが、レノボがわざわざ「テレワーク向け」と称して集めたということは、それだけテレワークの普及と市場拡大を見込んでいるということなのでしょう。

ぐりぐり動かしまくってもコマ落ちなし。快適3D CAD環境をご家庭でも!!

テレワーク向けというわけではないのですが、在宅など、テレワークでの利用も視野に入れているソリューションもレノボのブースにありました。こちらは小型デスクトップPC(ThinCentre Tiny)とタブレットPC(ThinkPad X1 Tablet)上での『CAD on VDI』のデモ展示です。

CAD on VDIは、サーバー内に構築した3D CADの仮想環境を、クライアントの画面に表示して操作するというもの。ワークステーション上で操作しなくても、ノートPCからWi-Fiや4G回線を使って、社内や自宅、出先でも、「いつでも、どこにいても」3D CADを操作できちゃいます。
CAD on VDIの原理はリモートデスクトップとほぼ同じなのですが、3D CADの膨大なデータを処理するために、サーバー側にグラフィックス処理ユニット(GPU)を載せたグラフィックスボードを搭載し、各仮想マシンでGPUのリソースをシェアしながら高速処理している点が異なります。
 
グラフィックスボードの差だけなら大したことないように思えますが、実はその差自体が大きいのです。このCAD on VDIって、レノボのサーバー部門がIBMにあったころから提供されていたのですが、当初はサーバーとグラフィックボードの物理的仕様のせいで、サーバー1台当たりのGPU数が最大2個、つまり2ユーザーまでしか利用できないという、便利だけどコスト面が課題でした。

しかし、クライアントとなるPCのさらなる小型化・高速化や、モバイル回線の高速化が進むとともに、ハードウェアと仮想化技術も進化し、グラフィックボード上に複数のGPUを載せたことや、vGPUテクノロジーでハードウェアによるGPUシェアが可能になったこと、さらにXenApp環境ではCADアプリのシェアも可能になるなど、サーバー1台当たりのユーザー数が一気に増えコストが下がったことで、テレワークにも対応可能なソリューションとして、再び脚光を浴びつつあります。
記者も昔、3D CADソフトの開発をしていたことがありますが、当時はPCどころか、1台数百万円もするエンジニアリングワークステーション(EWS)と呼ばれるUNIXマシンでなければ、3D処理ができない時代でした。それが端末ごと持ち運べて自宅からでも3D CADがグリグリ動かせるなんて、隔世の感があるのはもちろんですが、それよりも、端末の前に座って「徹夜で残業」なんてブラックなキーワードとも無縁なところが、もっとうらやましく思えました。

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わざわざクラウドのイベントでテレワークソリューションを紹介した、レノボの深淵なる思惑は量りかねますが、なんとなくテレワーク市場攻略に本腰を入れ始めたような気がしてなりません。その勢いがどうなるかはさておき、テレワークが一過性のブームで終わることはなさそうですし、レノボ・ジャパンの留目社長もこの日の講演で「オープンイノベーションなテレワークソリューションの提供」を掲げていましたので、近い将来、同業他社や業種を超えたコラボレーションによる、斬新なテレワークソリューションが、続々と生まれるかもしれませんね。ワクワク

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