5月も下旬に差しかかろうとする中、「もしかして現時点で日本一遅いWatson Summitのレポートなんじゃないだろうか……」なんて思いながらも、前回タイトルに『[1/3]』と入れてしまった以上、アレを「1月3日」とか「1÷3」とは読んでもらえるなんて都合のいい解釈はしていません。ちゃんと3回分掲載しますよ~、ってことで、第2回のレポートをお届けします。

ようこそ、S&Iのブースへ。人がいっぱいで近寄れなくなってウレシイです

今回はS&Iの出展内容のご紹介から。今年は昨年以上に力を入れ、Goldスポンサーでの出展です。
当社が月額クラウドサービスモデルで提供するWatson Explorer Advanced Edition (以下、 WEX)とWatson API (以下、Watson API)を活用して、ヘルプデスク業務の自動化/支援を実現するソリューションをデモを交えてご紹介しました。
S&Iお得意のコンタクトセンター向けソリューションのノウハウを基に、Watsonの最もWatsonらしい処理を組み込んで、実用可能なレベルのシステムを構築してみた、というわけで、スタッフ一同「イイんじゃない?これ」と、自信をもっての出展です。

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IBM Watson API でヘルプデスク業務が変わる!

まずは、Watson APIを活用したコンタクトセンター向けの業務支援システムの紹介です。これは、コンタクトセンターの窓口に寄せられる、お客様からの「PCが動かない」や「ネットワークにつながらない」などの声(自然言語)による質問を聞き取り、オペレーターが応対している間に、質問に最も適切と思われる回答の候補をオペレーターに提案する「FAQ支援システム」と、定型・一般的な質問にチャットボットが応対する「自動応答システム」の2つの機能を提供するものです。
このシステムでは、Watson APIのサービスのうちの、Natural Language Classifier(NLC:自然言語分類)、Retrieve and Rank(R&R:検索&ランク付け)、Conversation(会話)、Document Conversation(文書変換)、Speech to Text (STT:音声認識)を組み合わせ、オペレーターが回答を探すよりも早く回答の候補をピックアップ。自動応答では時間帯を問わずサービスを提供できるため、オペレーターの応対時間の短縮や負担を軽減するとともに、自動対応によるお客様への迅速なサービス提供と顧客満足度なども含めた、コンタクトセンター全体の品質向上につながります。

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IBM Watson Explorer で、あらゆるデータを あらゆる角度から分析

もう一つはWEXの紹介です。前出のWatson APIを利用した「自動回答」や「FAQ支援」の処理には、その対応業務に即した学習データ(コーパス)が必要です。
WEXは、一言で言い表すなら「大量のテキスト情報の分析サービス」ですが、具体的には、従来活用される機会のなかった、文書、メール、SNSのテキスト、コンタクトセンターの通話ログなどの大量のデータの中から、品詞や構文を理解して、顧客サービスの傾向やパターン、相関関係などをマイニング・分析・視覚化する環境でして、S&Iはこれを月額クラウドサービスとして提供しています。構造化/非構造化を問わず、さまざまなデータを効率的に収集して高速に解析することで、お客様の声をいち早くつかみ、製品やサービスの品質改善に生かすなど、ビッグデータを業務の可視化と効率化のために活用できます。
さらに、分析されたデータをコーパスとしてWatson APIに活用することで、自動回答やFAQ支援をスムーズに実現できる「欠かせないプラットフォーム」というわけです。

これらの機能を実際にご覧いただきたくて、コンタクトセンター向けの「エージェント業務支援」、「チャットボット」、「学習コーパス生成」、および「分析・レポーティング」のデモ環境を展示したところ、ブースの全景写真が撮れないほど多くのお客様にお立ち寄りいただきました。
ホントにもう、ひっきりなしにお客様がいらっしゃるので、ブースの写真を撮り損ねてしまいましたが(笑)、ご来場いただいた皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。開発陣が短期間で心血注いで仕上げたデモを多くのお客様に見ていただけたのは、何よりのごほうびです。

展示ブースの写真は撮り損ねましたが、せっかくなので、ブースの大型モニターに繰り返し流していた紹介用のスライドを載せておきますね。
 ※アニメーション効果を再現していないため、一部内容を変更してあります

ミニセッションも盛況でウレシ~ヽ(´∀`)ノ

S&Iブースのお向かい、ソフトバンク(株)のブースの特設ステージ「Watson ソリューションシアター」では、Watson Ecosystem Partner各社による取り組みやソリューションについてのミニセッションが催されました。S&Iは1日2回、2日間で計4回担当させていただき、WEXとConversation APIによる顧客サービスの自動化の手法と、WEXによる業務データの可視化とAPI向けコーパス生成について、詳しい資料を交えて解説しました。
ブース内の特設ステージですので着席できるスペースはほとんどない状態でしたが、皆さん本当に熱心に聴講いただき手応えを感じるとともに感謝カンゲキです。

セッションが始まると、数人しかいなかったお客様が徐々に増えていき、あっという間に数十人に!

ステージを撮影しようと、いろいろな角度から見て気付いたのですが、お客様が丸テーブルの間に立って聴講されるので一帯が通り抜けしづらくなり、さらに人が増えるという良い流れに。しかも前のカウンターではコーヒーやクッキーを配っていたので、一服がてらに聴講いただく人も。
聴講いただきました皆さま、本当にありがとうございました!

画像: 当日の会場のレイアウト。聴講客が立ち止まっていたので、特設ステージ前は通り抜けしにくくなっていた。 しかも迂回したらS&Iのブース前を通ることになる、これ以上ないほどステキなレイアウト

当日の会場のレイアウト。聴講客が立ち止まっていたので、特設ステージ前は通り抜けしにくくなっていた。
しかも迂回したらS&Iのブース前を通ることになる、これ以上ないほどステキなレイアウト

45分おきに大移動!! 大盛況のセッション会場で、いい汗かけました

さて、前回も少し触れたのですが、セッション会場の方ではWatsonに関する全部で10個のテーマに沿った、計90以上ものセッションが催されました。セッション数が多いせいでプログラムもけっこうタイトに組まれていて、45分間のセッションが終わると、次のセッション開始まで15分間しかありません。その間にお目当てのセッションの会場へ足を運ばなければならないので、会場内は45分おきに大勢の聴講者が通路や階段に列を成して移動開始。上の階を目指す者、下の階を目指す者、展示会場へ歩を進める者などさまざまでしたが、まるで45分間隔で民族大移動が始まったかのような賑わいっぷりは、それだけWatsonの情報に誰もが興味津々だという証拠でしょう。

ちなみに記者は、展示会場内の取材もあったので、頻繁に両会場を行き来したのですが……これが遠いんですよっ!!2,3分じゃ着かない!足早に歩いても4,5分かかる距離で、しかもセッション会場の方が階段で上の階へ行かなければならないので、まだ八十八夜にならないのに汗だくになって歩き回りまして、夕方近くになると足がパンパンに腫れ上がってしまいました。

画像: セッション会場内の様子。どの会場もほぼ満席で、やっぱりWatsonだけが目当てではないようだ

セッション会場内の様子。どの会場もほぼ満席で、やっぱりWatsonだけが目当てではないようだ

いくつか聴講した中で、Watsonとアナリティクスの共存・協調に関するセッションがユニークで分かりやすかったので、ちょっとご紹介。

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【「Watsonが広げる世界でアナリティクスが示す次の価値 ―コグニティブ時代に問われるアナリティクスとAIの調和」/日本IBM 西牧洋一郎氏】

この日本IBMの西牧氏のセッションでは、冒頭でWatsonとアナリティクスの協調の実例として、「NYC School Finder」というサイトが紹介されました。このサイトは、ニューヨーク市内の400を超える高校の生徒らが書いた論文を「学習済み」。高校進学を控えた子供を持つ親が、自分の子供の作文(論文、エッセイなど)を入力すると、学習済みの論文の内容に見られる各校の傾向から、自分の子にぴったりの高校をピックアップしておすすめしてくれるというもので、入力した文章から書いた人の性格(パーソナリティー)をプロファイリングする、Watson Personality InsightsというAPIが使われています。

Watson Personality Insightsは以前からデモが公開されていたそうなので、試したことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、そこにアナリティクスを組み合わせることで、「ニューヨーク市内の高校」という限定的な範囲ではあるものの、わずか数秒でかなり的確なマッチング結果を出すシステムに仕上がっています。

試しに記者が書いた文章を英訳してインプットしてみたところ、性格は『開放性:好奇心旺盛/勤勉さ:のんき/外向性:控え目/協調性:低い/感情の起伏:ニュートラル』という結果が出ました。記者は、よく妥協したり丸め込まれたりしますので、協調性に欠けるというのはハズレだと思いますが、外向性が控え目というのが「内向的」や「引きこもり」を指すのなら、これはズバリ当たっています(笑)。
で、進学先には科学技術系の「スタテンアイランド技術高校」、舞台芸術系の「レパートリーカンパニー高校」のほか、「サイエンススキルセンター高校」などがオススメらしいのですが、NYCに住んだことありませんので、記者にぴったりの高校なのかどうかは不明です。

ところで、Watsonもアナリティクスも、膨大な情報の中から知見を提示するという点ではよく似ています。両者が異なるものだということは、なんとなく分かっているものの、うまく説明しづらいもの。セッションでは、初心者が見てもハッキリと違いが分かる資料で説明してくれました。

画像: 講演資料にまとめられていたWatsonとアナリティクスの比較

講演資料にまとめられていたWatsonとアナリティクスの比較

ここまで単純明快にされたら、もはや説明の必要がなさそうですね。要は、Watsonは膨大な非構造データの中から質問への回答となる「候補」をいくつか探し出し、それらに確度を付けて提示しますが、最終的に判断するのはあくまで人間。いっぽうアナリティクスは、膨大な構造データの中から未来を予測するためのモデルを作り、それに沿って導き出した答えで業務を最適化する、という違いです。まあ、持っているデータがもともと違うのですが、西牧氏は、Watsonとアナリティクスは、決して相容れないもの同士ではなく、Watsonがある程度の選択肢を出したら、それをアナリティクスが拾って予測モデルを組む ―という感じで連携させれば、前出の「School Finder」のような活用ができると主張しました。
そして西牧氏は、「IBMのAIは、人間に代わって考える"Artificial Intelligence"(人口知能)ではなく、手が届かなかった選択肢をクロールしたり、それらの組み合わせを作ったりする "Augmented Intelligence"(拡張知能)である」と強調。人間がAIに職を奪われるのではないかという「AIの自動化の脅威」に対しては、トーマス・ダベンポートが寄稿した雑誌記事の中の一文を紹介し、AIが人間の知能を代替するものではなく、人間の知能を拡張・増強するものであると説明しました。

By emphasizing augmentation, we can remove the threat of automation and turn the race with the machine into a relay rather than a dash. Those who are able to smoothly transfer the baton to and from a computer will be the winners.
「拡張」を進めることで、AIの自動化の脅威を取り除き、コンピュータとのレースをリレーに変えられる。コンピュータからのバトンを円滑に受け取れる人たちこそが、AI時代の真の勝者である。

Thomas H. Davenport & Julia Kirby(2015). "Beyond Automation" Harvard Business Review, June 2015 Issue

このフレーズは「10年後、20年後に名言になっているかも」としながら、最後は「Watsonとアナリティクス双方の長所を正しく理解すれば、共存・協調は難しくないし、もし迷ったならIBMに相談してほしい」と締めくくりました。
 

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【「VMwareとIBMクラウドだからできる!いまのIT環境から考えるエンタープライズ向けクラウドの世界」/日本IBM 安田忍氏】

もう一つ、クラウド関連のセッションをご紹介。オンプレミスのサーバー環境をいかにしてクラウド化するかがテーマの講演でしたが、日本IBMの安田氏が、IBM Bluemix InfrastructureとVMwareの強力タッグの魅力について、静かに、そして時折熱く語ってくれました。
「Bluemix Infrastructure」は、BluemixのPaaSや WatsonなどのIBM Cloudを支えるIaaSクラウドインフラサービスです。一般的なクラウドサービスでは、オンプレミス環境からの移行時に必ずと言っていいほど設計や設定の変更が付きまといますが、Bluemix Infrastructureはベアメタルによる物理サーバーをサポートしているので、例えば「Web:共有仮想サーバー、アプリ:占有仮想サーバー、DB:物理サーバー」のような、仮想環境と物理環境が混ざったシステムでも、そのままクラウド環境上に移せるという特徴があります。
さらに安田氏は、物理サーバーのベアメタル化ができない場合でも、東京のデータセンター内のコロケーションエリアに物理装置を持ち込んで、センター内で直結できることを説明。従来どおりの機器構成での「そのまま移行」が可能なことも強調しました。また、グローバル・レベルで冗長化されたBluemix データセンター間のプライベートネットワークをジャンボフレーム利用できて、しかも無料。信頼性もパフォーマンスもコスト面でもメリットがあると付け加えました。

画像1: ──────────────────── 【「VMwareとIBMクラウドだからできる!いまのIT環境から考えるエンタープライズ向けクラウドの世界」/日本IBM 安田忍氏】

とりわけ、仮想環境も物理環境もひっくるめて設計変更や設定変更なしでVMware製品が難なく動くというメリットは大きいはずです。IBMとVMwareの協業により「月額単位&プロセッサー課金」によるVMwareライセンス(VMware Cloud Foundation on IBM Cloud、および VMware vCenter Server on IBM Cloud)の提供も始まり、さらにZerto Disaster Recoveryによる災害対策を強化したZerto on IBM Cloudや、Intel TXTと HyTrust DataControl実装でセキュリティーを強化したIBM Cloud Secure Virtualizationなど、VMware製品向けのさまざまなポートフォリオが紹介されました。

画像2: ──────────────────── 【「VMwareとIBMクラウドだからできる!いまのIT環境から考えるエンタープライズ向けクラウドの世界」/日本IBM 安田忍氏】

VMwareとの親和性が高く、セキュリティーがしっかりしていて、オンプレミス環境からの移行が簡単、などの特徴が目立つ中、安田氏は「IBM CloudならWatsonも使える」という大きな特徴についても触れてきました。IBM Cloudなら、VMware環境だけでなく、コグニティブ、AI、IoT、ディープラーニング等も同じデータセンター内でアクセスできるので、「例えば、最初はクラウドの部分はVMware上にワークロードを乗せて、Watsonで通信させるような導入も可能」と、いきなり全部クラウド化して苦労するのではなく、最初はVMwareと組み合わて使っちゃえと、Watsonも忘れずに持ち上げて講演は終了しました。

ところで、Bluemix InfrastructureによるVMware環境のクラウド化サービスは、S&IもVMware on IBM Bluemixを提供しています。ぶっちゃけ、サポートがIBMからS&Iに変わるだけで、Bluemixのベアメタルサーバー機能はもちろん、vCenter間で論理スイッチを構成するユニバーサルスイッチ機能、オンプレミスークラウド間、さらにグローバルクラウド間でもvMotionでライブマイグレーションできる機能などもサポートしています。初期費用90万円/月額48万円から始められて、しかも日本円で決済できますので、VMware環境のクラウド化をお考えでしたら、ぜひS&Iにご相談ください。


今回もボリューミーな内容でお届けしてしまった「もしかしたら現時点で日本一遅いWatson Summit レポート」……って、タイトル変えちゃったけど、第2回はこの辺で。
次回は最後のレポート。展示会場内の様子をご紹介します。いろいろ目立ってたり気になったりしたブースがあって、とても全部紹介しきれないのですが、なるべくたくさん並べてみようと思います。

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