「SoftBank World2017」のイベントレポート、Part2です。
ここでは、S&Iが21日に行った講演の内容をご報告いたします。この講演は、早々に予約で満席になってしまい、当日はキャンセル待ちの列ができるほどの大盛況となりました。立ち見まで出た会場は熱気でムンムン。Watsonの、そしてS&Iの時代が来ています!

Watsonが選ばれる理由と難しさは表裏一体

今回の講演のテーマは、「IBM Watsonで顧客対応業務が変わる!~現場のナレッジを「形」にし、脱属人化を実現~」。期待値の高いテーマですが、正直者のS&Iとしては、単にソリューションやきれいごとを並べるような話はいたしません。

今回は、共に開発を行っている株式会社ハウコム様(以下、ハウコム)にもご登壇いただき、「Watsonを使ってみた実際のところ」を生々しくお伝えすることにしました。特に、学習機能について、泥臭くお話ししています。

ハウコムは、ヘルプデスクやBPO系のコンタクトセンターをアウトソーシングで受けることをメイン業務とする企業で、そのノウハウを生かしてコンサルタントなどのサービスも提供しています。Watsonをコンタクトセンターの業務に活用するにあたり、学習機能をどう作っていくか、コンタクトセンターのワークフローにどうなじませていくのかを、共に開発しています。

ということで、今回は、S&Iコグニティブ&UIデベロップメント統括部長 佐々博音のほか、ハウコム運営本部サービス戦略部部長 松野淳一氏にもご登壇いただき、ベンダーからは出てこない、現場の生の声をお伝えする機会となりました。

KCS(Knowledge Centered Support)による業務改善を行う

ハウコムは、「従業員満足度なくして、顧客満足度なし」がモットーというすばらしい企業です。従業員満足度向上のために、「KCS」というフレームワークを使い、ナレッジ中心に見据えた業務改善に取り組む中で、テクノロジーの活用という点に着目。Watsonを導入することとなりました。

KCSとは、Knowledge Centered Supportの頭文字を取ったもの。カスタマーサービスの課題解決に必要な方法論として広く認められているものです。

このKCSでは、以下のポイントが述べられています。
・全体の80%のナレッジはほとんど再利用されない
・未知事象は下書きレベルでも登録して即時内部公開する
・KCSを推進する役割を定義し、全員が関わる

「80%のナレッジは再利用されない」とは驚きですが、ハウコムではこれを肯定的に受け取り、ムダな工数をかけずに再利用される20%をブラッシュアップすることに注力したそうです。

知っていることでも、「必ず検索」する意味が深い

ハウコムが、KCS にWatsonを活用するうえで重要としているのは、属人化の排除。すでにナレッジ運用の重要性の認識は従業員に浸透しており、現在はナレッジを学習データ化している段階です。

具体的な方法として、「必ず検索」を徹底。
通常のコールセンター業務では、検索をするのは知らないことが出てきたとき。それをあえて、必ず検索にする理由は、「チームのため」です。自分が知らないから検索するのではなく、チームのために既知未知判定するという意識改革を行っています。

ベテランオペレーターにとっては、この作業が負担と感じることも多く、意図を浸透させるのに苦労したとのこと。松野部長の奮闘ぶりが見える気がします。

結果、半年間で2,000件を超えるコンテンツの蓄積に成功。
さらに、これまで30秒かかっていたTAT(ターンアラウンドタイム)を、約10秒に短縮しています。大繁忙期となる4月に新人を大量に投入したときも、このTATは維持できたというのですから、すばらしい成果です!

松野部長は、この業務改革を通じ、AIの活用とKCSの親和性が高いことを実感しているとのこと。次のステップとなる運用実装にますます期待が高まります。

すでに多くの仕事を抱える熟練者の作業が一時的に増える課題も

もちろん、いいことばかりではありません。
課題の一つが、アウトソーシングでカスタマーセンターを運用しているため、学習データの二次利用には、データオーナーの許可が必要な点。ここでOKを出す企業はいるものの「固有情報はマスキングして」といわれると、その対応は手作業で行うしかありません。結局、ここに多くの時間と労力を要してしまいます。

また、学習データ構築時の運用現場担当者の負担感が大きいのも課題です。Watsonの導入はコグニティブ技術者が精力的に動くことで推し進められますが、作成されたコンテンツの正確性を判断できるのは現場熟練者です。すでに多くの業務を抱えている熟練者には、さらに負担となってしまうため、難しい面があります。

これについては、導入時に学習データをどう作るかで熟練者の負担が変わってくることもあり、導入サポートを行うS&Iの腕の見せ所とも言えます。

初期コーパスをどう作り、学習機能をどう高めるかがWatson運用のカギ

Watsonは、導入してすぐに使えるというものではなく、学習させることが必要になります。
スムーズな導入のために初期コーパス(学習データ)を作成し、さらに運用しながら学習を繰り返します。ところが、AIの機能はブラックボックスになっているため、独自に学習をさせようとしてもうまくいかないことが多くあるのです。

ここにS&Iの運用サポートが大きく関わってきます。ハウコムと共に蓄積したノウハウをベースに、データ収集・分析から、学習データの設計や構築をすべてカバー。スムーズな運用が行えるよう、全面的なサポートを行っています。

これまで多額の開発コストが必要でイニシャルコストが高額だったAIですが、今後は、クラウドサービスが拡充することで導入のハードルが下がるのは間違いありません。しかも、それは未来のことではなく、2018年にはすでに、さまざまなシーンで使われると予測しています。

話題性が先行し、実際にはまだ導入している企業は少ないのが現状ですが、「え?まだ、AI入れてないの?」という会話がまかり通る日は、すぐそこまで来ています。
S&IのWatson関連サービスの詳細を知りたい方は、ぜひ、3部作となっているこの記事のPart.3もチェックしてください!

最後になりましたが、S&Iの講演を聴講してくださった方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。これからのS&Iもよろしくお願い申し上げます。

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