ちょっとごぶさたのグルメ・レポ。第5回目となる今回は、人形町の人気パン屋さん、サンドウィッチパーラー「まつむら」のご紹介です。
 
「まつむら」といえば、テレビや雑誌などで何度も紹介されている「超」が付く有名店。大正10年(1921年)創業、今年で96年目の老舗パン屋なのですが、敷居の高そうなイメージは全然といっていいほどなく、ちょっと昔の、なんとなく懐かしい「町のパン屋」そのまんまのイメージのお店です。

魔女でもないのに「ウィッチ」かよ!ライター泣かせのお店だな

「パン屋」と紹介したのに、お店の看板は「サンドウィッチパーラー」。パーラーはさておき「サンドウィッチ」なんですよね。魔女じゃなくて、双子のおじいさんたちならいますけど。※1

日本語ライティングの世界では、外来語のカタカナ表記に関するルールがありまして、新聞社や出版社の多くでは、パンニハムハサムニダ系※2のいわゆる"sandwich"のことは、「サンドッチ」と表記するルールを採用しているケースがほとんどなのですが、同時に固有名詞や商標名の場合はルール無用の修羅の世界※3。ここは店名や看板を「サンドウィッチ」、商品は「サンドッチ」ということにして、それ以上のツッコミはご容赦願います…って、そんな言い訳がしたかったわけではなく、お店の看板商品は、看板どおりサンドイッチなのです。

※1 双子のおじいさんたちは、会長(創業者の娘さん)のご主人とその弟さんで、現在の店主は会長の息子さんだそうす。
※2 サンドイッチの起源を主張しているわけではありません。
※3 何でもアリということではなく、可能な限り固有名詞や商標に近付けて表記するケースが多いです。

画像: 「手づくりのパン」「焼きたてのパン」と書いてあるのに「サンドウィッチ」パーラーを名乗る「まつむら」の店舗。老舗なのに庶民的すぎで、気軽に入れる。

「手づくりのパン」「焼きたてのパン」と書いてあるのに「サンドウィッチ」パーラーを名乗る「まつむら」の店舗。老舗なのに庶民的すぎで、気軽に入れる。

ここから先は、ときどき 麻生美代子さん っぽいイメージで読んでみてください。記者は男性なので「あらあら…」みたいな言葉づかいはしませんし、豆助のおつかいを覗いたりしませんけど、なんかそんな雰囲気が似合うはずですw

人気のサンドイッチは、三色サンド(野菜)、三色サンド(フルーツ)、カツサンド、コロッケサンドなど、いくつか種類がありますが、おすすめは写真の「まつむらMIX」。

なんだ、フツーのサンドイッチじゃん…って、そこ!そこがポイントなの。誰もが想像する、ごくフツーのパン屋の、ごくフツーの味の、ごくフツーのサンドイッチに見えるでしょ?食べてみてよ、一度でいいから。大工場で量産されたサンドイッチとは一味違う、どことなく懐かしい味がホンワカパッパと口の中に広がるんですよ。

パンはコンビニのサンドイッチよりもやや固め。ブルースブラザーズ のエルウッドが炙る前のトーストみたいな薄いパン。でもイイ感じにしっとりしていながら、端っこはピッチリ直角。たまにパンが反った分斜めになっているのも手作りならでは。

そして肝心の味は…まあ、特別パンチの効いた味はしません。創業当時のパンの味を守っていくと、当然のことながら、当時存在しなかった調味料や添加物は使わないわけですので、とても素朴な味です。具はギッシリということもなく、からしバターを塗ったハムサンドや海苔チーズサンド、みずみずしい厚切りキュウリ(野菜)サンドなど、オーソドックスな具が、2枚のパンの間にほぼ真一文字に挟まっています。よく「昭和の味」とか比喩されますけど、平成生まれの世代にはイミフでしょうね。でも「おばあちゃんの味」とか表現したら分かるでしょうか。そんな懐かしくも優しい味です。

ちなみに記者は、十数年前に「まつむら」のサンドイッチを食べて以来、コンビニのサンドイッチを買って食べたことがなく、差し入れ等で食べたことが何度かある程度です。

「昭和の味」大放出!これぞホントの『THE ORIGIN』

看板では「サンドウィッチ」を掲げていますが、まあ普通にパン屋ですので、実に数多くのパンが売られています。どれが美味しいかは好みにもよりますが、記者がよく買うのは、前述のMIXサンドのほかに……

決して辛くないけど、安くて腹持ちが良くて、みんなに好かれる正義の味方 カレーパン! 揚げてあるので「カレー・ドーナッツ」とも呼ばれるのですが、市販のカレールウからではなく、タマネギを炒めて小麦粉とカレー粉を加えて作った黄色いカレーのイメージそのままの、昔ながらの味。タマネギから出た甘みには思わず目じりが下がります。

サンドイッチをちょっとだけ食べたい人には、サンドイッチ3個セットの 「三切れサンド」 がおすすめ。サイズは前出のMIXサンドと同じで、量も値段もほぼ半分。
多彩なラインアップを誇る、 ロールパンのサンドイッチ (バターブリオッシュに切り込みを入れていろいろハサムニダ系)ハンバーガー類 もおすすめです。ハンバーガーもサンドイッチの一種ですしね。

握りこぶしのような、グローブのような、そんな「正しい」形をした クリームパン 。割ってみると、中には甘くてボテっとしたクリームが。カスタードとかそういう感じじゃないけど、クリームパンの王道、正道、スタンダード、ベーシック、ルーツ、オリジン、プロトタイプ…四の五の言わせぬおいしさです。

これはただの記者の持論なのですが、本当にイイものや、多くの人に愛されるものは、そうやすやすとカタチを変えないということです。
例えばビートル(自動車)やジッポ(ライター)のように、生まれてから長い間形を変えなかったものは、さまざまな分野に数多く存在します。それらの多くは「変えなかった」のではなく「変える必要がなかった」からこそ、変わらなかったのだと思います。
まつむらのサンドイッチやパンには、見た目の派手さやふんわりしたバターの香りも強烈なカレー味もありません。それは、新しさやトレンドに無頓着ということではなく、いずれ飽きられる流行に乗るよりは、いつ食べても安心できる、変わらぬ味を保つことを選んだ結果なのでしょう。ここ人形町で長らく愛されてきたことと、安心を求めて今も足げく通う記者の存在が、その何よりの証拠です。

まつむらといえば、最近「焼きそばパン」を見かけないような気がします。ロールパンに焼きそばを挟んだパンではなく、パン生地の中に焼きそばを入れて焼き上げた、正当な「焼きそばパン」です。基本中の基本、味の正中線へまっすぐ剛速球を投げ込んだような味でありながら、直後に目を閉じて「ふにゃぁ~」とトロけてしまいそうな、そんな懐かしい味でなのですが、なんだか思い出したら食べたくなってしまいました。今晩、夢に出ないことを祈らないと…。

ちなみにロールパンに焼きそばを挟んだパンは、正しくは「焼きそばロール」と呼ぶのですが、最近はそう呼ぶ人もずいぶん減ったように感じます。まあ、おいしければどっちでもいいんですけどね。もちろんまつむらの焼きそばロールもおすすめですよ。

そのほかにも、あんずのジャムパン、クリーム入りのそぼろパン、あんドーナッツ、チョココロネ、ピーナッツコロネ、マフィンやベーグル、ドーナッツも…もうおすすめが多すぎて、「豆助」※4をおつかいにやるには、ちょっと酷かもしれません。

※ 記者は7代目と15代目がお気に入り。

ウィッチはいなかったが、パーラーはあったよ

そういえば、店名にある「サンドウィッチパーラー」の「パーラー」がまだ気になっている人っていますか?
「まつむら」にはイートインコーナーが併設されていて、買ったパンをそのまま店内で食べられます。サンドイッチをほお張りながら、コーヒーや紅茶などもオーダーできるのでサンドウィッチ「パーラー」ということなのでしょうね。

画像: イートインコーナーで、焼きたてのパンと一緒にコーヒーを注文。忙しい日のブレイクタイムにいかが?

イートインコーナーで、焼きたてのパンと一緒にコーヒーを注文。忙しい日のブレイクタイムにいかが?

今ではイートインのあるパン屋なんて珍しくもないのですが、そこはそれ、さっきから昭和でレトロでオリジンで王道って言ってるぐらいですから、やっぱり雰囲気がイマ風じゃないのです。例えば、コーヒーを注文したら、コーヒーとミルクピッチャーが出てきます。ペットシュガーやポーション(コーヒーフレッシュ)なんてありません。シュガーは備え付けの古めかしいシュガーポットの中。変に近代化していないから、トランス脂肪酸やリノール酸の心配がないんです。
もし、運よく焼きたてのパンに出会えたら、ぜひイートインコーナーで焼きたてを味わってください。焼きたてのパンがなくても、コーヒーや紅茶などの飲み物と一緒に、アツアツのトースト各種も注文できますよ。


サンドウィッチパーラー まつむら 人形町本店
東京都中央区日本橋人形町1-14-4
電話:03-3666-3424



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