ちょっと聞いてくださいよ。この前、ワトソンサミット行ったんです。ワトソンサミット。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで展示がよく見えないんです。
で、よく見たら、なんか 「ようこそ、コグニティブの時代へ。」 とか書いてあるんです。

伊勢・志摩サミットよりも、こっちの方に興味津々

Watson Summitは、世界各国の「 ワトソン博士 」が一堂に会してITの課題について……あ、これは、Watsonと聞いてワトソン博士を連想しただけの冗談ですが、あまり古い話ばかりしていると、また 奇行種 希少種と呼ばれてしまいそうです。

画像: 『ワトソンサミット 2016』の参加メンバー。左からワトソン博士(加)、ワトソン博士(独)、ワトソン博士(英)、ワトソン博士(日)…ごめんなさい。冗談です。

『ワトソンサミット 2016』の参加メンバー。左からワトソン博士(加)、ワトソン博士(独)、ワトソン博士(英)、ワトソン博士(日)…ごめんなさい。冗談です。

去る5月23日~25日に開催された 『IBM Watson Summit』 は、日本IBM主催のプライベートイベント。昨年までは『IBM XCITE』と呼ばれる、ビッグデータ、アナリティクス、クラウド、モバイル、IoT、ソーシャル、セキュリティーなどの先端技術の数々を紹介するイベントでしたが、今年から、 IBM Watson テクノロジーを活用したコグニティブ時代の新技術を、いち早く紹介するイベントとして生まれ変わり、イベント名も IBM Watson Summit になりました。

今さら「Watson」(ワトソン)について詳しく紹介するまでもないと思いますが、一応簡単に述べますと、IBMの初代社長 トーマス・J・ワトソン の名にちなんで開発したスーパーコンピューターで、自然言語で問われた質問に対し、素早く正確に、確信度付きで回答することで人間の意思決定を支援するための質問応答(QA)システムです。2010年にアメリカの人気クイズ番組「ジョパディ!」で、当時最強と目されていた二人のクイズ王に挑戦し、大差で勝利したことで話題になりました。
Watsonは、自然言語を理解して、その経験から学習し、蓄積された知識の中から相関関係を見つけて最善の答えを自ら導き出し、さらにその成果を新たな経験として学習するため、以前はしばしば「人工知能」と呼ばれていましたが、現在では「 経験に基づく知識による~ 」という意味を冠した「 コグニティブ コンピューティングシステム」と呼ばれています。

S&Iも最新の音声分析ツールを展示

今回が初の開催となるWatson Summitには、S&I もスポンサー企業として協賛しました。
 
IBM Streams の技術が採用された音声分析ソリューション VERINT『Speech Analytics』 を中心に、コンタクトセンター業務における通話録音データからのほぼ完璧(ぺき)な文字起こしと、単語、フレーズ、カテゴリー、テーマの自動検出・マイニングや分類・分析などの機能を紹介しました。

また、CTI情報を元に、通常の応対以上の 長電話 や頻繁な 保留 など、「問題がある」と想定される通話を自動的に抽出することで、より効率的な運用や応対品質向上を実現する 『VERINT Quality Management』 の無償お試しキャンペーンも実施中。こちらはイベントが終了した後もお申し込みいただけますので、ぜひお問い合わせください。

『VERINT Quality Management(応対品質管理) 2カ月無償トライアル』 キャンペーン (2017年3月31日まで)
詳しくはこちら

「モノ」をネットにつなぐだけがIoTじゃない!

S&Iのブースのすぐ近くでは、 IBM Watson IoT Platform を活用して、『モノ』と『アプリ』を、IBMのクラウドでつなぐ開発体制のデモを実演していました。
(『モノ』は、ぷらっとホーム(株)のIoTマイクロサーバー"OpenBlocks IoT EX1"、『アプリ』はジェナ(株)のPepperアプリケーション)

デモのテーマは、センサーを仕込んだ「フーズボール」 (=テーブルフットボール) をIoT化するというもので、8本のバーと二つのゴールに仕込まれた計10個の加速度センサーが、毎秒10回データを送出(ゴールのセンサーは毎秒1回)し、それを受信したOpenBlocksが直接Watson IoTにデータを送り、 Node-RED で作られたプログラムで処理した結果をモニターに表示する仕組み……あれ?簡潔に説明しようと思ったら、どこがスゴイのか分かんないぞ?
ちょっと固有名詞を省いて説明してみますね。えっと、プレイヤー同士がバーを忙しく動かしまくってちっこいボールを奪い合うことで、センサーの付いたバー(選手)の位置関係と動きをリアルタイムに把握して、どのバー(FW/MF/DF/GK)が動いているかで、どちらのチームが優勢なのかを判断して画面に表示。 (例えばFWが多く動けば優勢、DFが多く動けば劣勢) そしてボールがゴールに入れば得点が表示されるという、まるで涼やかに水面を行く白鳥の足のように、表からは見えないところで忙しく処理をしているのだそうです。

そして、その一連の表示内容をPepperが読み上げる。つまり、Pepperに試合の『実況』をさせているような演出ですね。
 Pepper:「あかが、ゆうせいですね」
 Pepper:「ゴォ~~~~ル!! やったぁ!」
なんだかヘナヘナ感増大…(笑)。ゴールしたときはもっと熱狂的に盛り上げて欲しいところなのですが、Pepperの実況のボキャブラリーが少なすぎて、逆に寒々とした雰囲気さえします。

説明員: 「本当はカメラでボールの位置を追うところまで実装したかったのですが、展示までに間に合わなかったんです」

…デスヨネ~。開発環境の詳しい説明はありませんでしたが、このイベント向けの開発期間が限られていたせいで、残念ながらその構想をすべて形にできなかったそうです。一番動き回るはずのボールとか、各バーに付いてるすべてのプレイヤー人形にセンサーを付ければ、Pepperの声の抑揚はさておき、よりリアルな実況ができたに違いありません。ボールをキープする時間が短すぎてPepperの声が追い付かないんですよ、きっと(笑)。
プログラミングにNode-REDを使ったおかげで、わずかな期間で今回のデモ用のプログラムを仕上げられたそうなのですが、それよりも、ただのフーズボールのような ゲーム をIoTに結び付けるなんて突飛な発想、ホントに驚きました。これが将来、リアルなゲーム(スポーツ)と冗舌なロボットに置き換わったら、実況中継が面白くなるかどうかは不明ですけど。

Bluemixで動くミニチュア工場の主役は、赤いアイツ!!

さて、メカ大好きな記者が次に釘付けになったのは、赤くて小さなメカを展示していたブース。「 ミニチュアファクトリー 」と書かれた、小さな赤いベルトコンベアは…もしかして フィッシャーテクニック のブロックじゃね!? メカモ電子ブロックカプセラガンプラエレキットLkitLEGO EV3 …と、昔からメカメカなガジェットに目がない記者も、欧州の発明王が興したフィッシャーテクニックの製品はまだ手にしたことがなく、足を アンカー で打ち付けられたかのように、そこから動かなくなってしまいました。

フィッシャーテクニックのブロックは LEGOと同様の知育玩具ですが、そのラインアップには大学や工業高校などで制御学習用教材として使われているトレーニングキットもあって、LEGOよりも専門的な…おっと、Watsonからどんどん脱線してますね。

このブースに展示されていた『ミニチュア工場』は、製品に見立てたオブジェクトを、シーケンサーで制御されたコンベアーで検査工程へ送るラインの一部を模したものだそうです。
ラインの稼働状況は、 IBM Bluemix によって監視されていて、コンベアーのモーターの電流値の変化からオブジェクトが検査工程に差しかかったことを検知すると、カメラがオブジェクトを撮影し、その画像がWatsonへと送られます。Watsonは画像を分析して、その形状が人の顔だったら「良品」、それ以外だったら「不良品」と判断。その結果は即座にBluemixへと返され、不良品の場合はアラートを出す(音声とランプ点灯)というところまでを実演するのですが、Watsonの判断(回答)に沿ったリアルタイムでのフィードバックが、こんな小さなオモチャの工場内で見事に再現されていました。

弱電のモーター音とギアが噛み合う音の中、プログラムどおりにオブジェクトを運んでカメラで撮影する様は最高にキュートなのですが(私だけ?)、その裏ではBluemixによる細やかな監視とWatsonによるアナリティクスが蠢(うご)めいているのですから、たぶん世界で最もインテリジェントなオモチャなのかも知れません。

「『がんばれ!』ト命ジナクテモガンバッチャウロボ」がいよいよ実現か?

展示会場内の「Watsonコーナー」には、WatsonとWatson Explorerをベースにしたソリューションが展示されていましたが、その中でもソフトバンクとの共同で出展していた、Watsonとロボットの連携ソリューションのブースには、多くの人が集まっていました。

ここでは、Watsonをベースに自社の業務を効率化する「SoftBank BRAIN」を使って、ソフトバンク社内の「社員サポートセンター」のワークロードをPepperで代替させるデモを実演(参考出品)。社員のモバイル端末が故障したときの対処をWatsonに質問するために、Pepperをインターフェースにして、ユーザーが 音声で質問したら 、Watsonが考えて、Pepperが 音声で回答する 、というものです。Pepperはマイクで拾ったユーザーの質問(音声)をWatsonに渡して、Watsonの回答(テキスト)を読み上げているだけで、そのほかには身振り手振りで愛嬌を振りまいたり、取説のPDFデータを胸のディスプレイに表示させるぐらい。もしかしてPepperである必要なんてなく、自分好みの『カッチョエーロボ』や『セクシーロボ』に置き換えられる日が来るかも知れませんよ。

それはさておき、このシステムのメリットを分かりやすくするために、Watsonの特徴を整理してみましょう。

  • 自然言語による質問内容を理解・推察して回答を返す
  • 可能な限り『最良』の回答を返そうとがんばっちゃう
  • データを『知識の泉』として蓄えるだけでなく、自ら分析して学習する
このほかにもいろいろありますが、まあ、がんばり屋ってことですね、Watsonって。

従来のシステムで同様のQAをさせるなら、ユーザーの質問に対する回答を一つ一つひも付けた状態でデータベース化して、その中から質問に合致する回答を検索・提示するわけですが、そのデータの入力や整理、およびメンテナンスには膨大な時間がかかります。さらに想定外の質問に対し、データベースの中に回答が存在しない(検索ヒットしない)場合やエラーが出たときには、適切な情報を提供できません。例えば、いきなり「『男の娘』は男か女か?」なんて、専門外の質問をしても答えられないのです(笑)。
 
しかしWatsonなら、入力されたデータを知識として蓄積し、その中から質問に対する最良の回答を推察して提供します。想定外の質問が飛んできても、知識と経験を総動員させて一所懸命に考えて、必ず何らかの回答、代替の答え、または選択肢を返すのです。がんばり屋ですから。そして、その回答の正誤も経験として蓄積し、自ら精度を向上させるという、まさしくコグニティブ・コンピューティングの神髄を地で往くような、正真正銘の人工知能なのです。
ですから、いきなり「男の娘」の質問が来ても、きっと持ち得る知識を総動員し名回答を導き出すことでしょう…あ、いや、それだとただの想像ですので、機会があればWatsonに「いきなり"『男の娘』は男か女か?"という質問をしたら、どういう回答をする予定なの?」と質問してみましょう。


会場には、そのほかにもWatsonをはじめとするテクノロジーを活用したさまざまなソリューションや事例が多数展示されていましたが、とても全部見て回れませんでしたし、見てきたものすべてを紹介しきれません。
それにしても、Watsonが世に出た当時は、少し賢い質問応答(QA)システムぐらいにしか思っていなかったのですが、『ジョパディ!』でクイズ王を負かすぐらいの情報(知識)量を持ち、その後もさらに情報を上積みしてきたのだとしたら、いつか、オチを間違えたジョークに吹き出したり、自分から 「Watson... is alive」 とか話し始めたりするぐらいに成長するのかも…。
何でも学んで自分のものにするWatsonが、"希望"や"愛嬌"を覚えてくれたらワクワクしますけど、"野望"や"度胸"は即座に忘れて欲しいですね。

―END

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